セブン、首都圏で「弁当チルド化」急ぐ意外な背景 フードロス削減に加え、迫りくる「危機」に対応
そんなコンビニにとっても、物流の2024年問題は頭の痛い問題だ。中でも切実なのが、運賃の高騰。コンビニ業界3位のローソンの試算によれば、2024年度以降も現状の物流システムを維持した場合、年間20億円もの経費増になるという。
配送回数削減とAIによるルート効率化
そこでコンビニ大手3社はそれぞれ対策に乗り出している。
AI(人工知能)を活用するのはファミリーマートだ。弁当やおにぎりなど日配品の配送トラックのルートを、昨秋より独自開発したAIで最適化している。「従来は熟練した人材に配送ルートの策定を依存していたが、それでも一定のバイアスが生じていた」(松本昭男・物流企画部マネジャー)。実施した配送地域では約1割の走行量削減を実現しているといい、「今後、冷凍食品の配送にも活用を広げていく予定」(同)だ。
セブンとローソンは、店舗への配送回数そのものを減らす。日配品の店舗への配送を、セブンは1日4回から3回に、ローソンは3回から2回に削減する。
ローソンでは深夜・午前・午後と1日3回配送していたが、全国の店舗で深夜便と午前便を集約して1日2回配送に変える。「従来は店舗への到着時間を優先した制度設計だったため、トラックが十分に荷物を積まずに配送することもしばしばあった。1台あたりの積載効率を上げることで、配送回数を減らしても店舗に配送する商品の総量は変わらない」(川島宏史・ロジスティクス部長)。
実はローソンでは、店舗への配送回数の削減を3年も前から構想していたという。物流部門は2024年問題にかかわらず、コストセンターとして常に効率化が求められてきた。そして店舗への配送回数を減らすには、弁当やおにぎりなどの工場の作業工程から、共同配送センターへの輸送、センター内作業、店舗への出荷まで、あらゆることを見直すことが求められる。コンビニにとって配送回数の削減は、そう簡単なことではないのだ。
さらなる懸念もある。「単純に配送回数を減らすだけでは、加盟店が発注量を減らすのではないか」(コンビニ関係者)という点だ。
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