松本明子が語る「実家じまい」の壮絶な苦労と教訓 特集「相続・登記・空き家2024年問題」インタビュー

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──一気に実家を片付けるのはかなりの重労働でしたね。

確かに体力的につらかったが、両親に感謝する貴重な時間でもあった。幼少期のピアノの譜面、習い事の道具、制服……デビュー当時のビデオテープも何百本と押し入れから出てきて、応援してくれた両親の思いを感じることができた。

同時に「こんな大変な思いを息子にはさせたくない」との意識が高まった。自分の周辺は身軽にしておこうと、捨ててもいいものを身に着けるようになった。

実家じまいを明るく話す

──松本さんの「実家じまい」の体験はひとごとでなく、多くの人が直面する問題でもあります。

私はたまたま50代前半で体験したが、80代の親が亡くなると、息子・娘は60代。老々介護ならぬ「老々相続」は体力との闘いだ。親が生きていて自分も動けるうちに、話し合いながらコツコツと実家の片付けを進めておくとよい。

ただ、「もう捨てるよ」などとストレートに言うと親の機嫌を損ねてしまう。ある専門家が言っていたが、思い出の品を親子で一緒に処分すると「あんたが使っていた弁当箱、あのとき一緒に処分したね」と新しい思い出に変換でき、親の納得も得やすい。

あとは、貸すのか売るのか実家の大まかな方向性を家族の間で共有しておくとよい。その際、きょうだい間でリーダーを1人決めておいたほうが後々もめなくて済む。

──ただ、両親が元気なうちはなかなか切り出しにくい話題です。

気持ちは理解できるが、私のように先延ばしにすると経済的にも体力的にも大変になる。お盆や正月の家族が集う場で「買いたいという人がいたら譲ってもいいのかな?」「お母さんの大事なものを1つ選ぶとしたら?」など明るく切り出してみてほしい。

「終活」や「相続」という言葉を使うと話が重くなる。「実家じまい」というカジュアルな言葉を入り口にして「松本明子もこんなに困っていたみたいだよ」と私の体験を利用してもらえれば(笑)。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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堀尾 大悟 ライター

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ほりお だいご / Daigo Horio

慶応大学卒。埼玉県庁、民間企業を経て2020年より会社員兼業ライターとして活動を開始。2023年に独立。「マネー現代」「NewsPicks」「新・公民連携最前線」などで執筆。ブックライターとしても活動。

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