SNSに夢中な人・距離を置く人で異なる幸福度の差 アメリカの大学で「失敗体験の共有を奨励」する理由

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ところで、フェイスブックの利用が幸福感を損なうのは一体どういう仕組みなのでしょうか?

フェイスブックの利用が増えることで、妬みのレベルが高くなることが、可能性の一つとして考えられます。特に、フェイスブックを繰り返し利用すると、自分と何らかの点で似ている人とつながることが多いため、妬みが発生しやすくなる、と考えられます。自分と似たような人の成功談を聞くことが、特に難しいのはよくあることだと思います。

フェイスブックを利用することは、比較することを特につらくするので、それが幸福感に悪影響を及ぼす可能性があります。フェイスブックやインスタグラムで多くの人が目にする、友達の画像について考えてみてください。その友達は、とても素晴らしい時間を過ごしている様子です。

そうすると、きっと、自分たちの生活ではそのようなことはできない、自分たちは見合っていない、と思うことでしょう(我が家の3人の子どもたちは耐えていますが、私は、自分が高校生だったときに、招待されなかったパーティーの写真をインターネットで見ることがなく済んだことを、本当にありがたいと思っています)。

このような絶え間ない比較は「ソーシャルメディアやスマートフォンなどの電子機器に多くの時間を費やす青少年は、うつ病の割合が高く、自殺未遂の回数が多い」という理由を説明する手助けになります。

私たちの健康に影響を与えるフェイスブック

最近のある研究は、特にフェイスブックの利用が、私たちの健康にとって非常に悪いことを示す、説得力のある証拠を提示しています。

この研究では、まず、人々が1日にどれくらいの時間をフェイスブックに費やしたのか、また、他の人の投稿に「いいね!」をつけたり、自分の近況を投稿したり、リンクをクリックするなど、どのような行動をとったかを調べました。

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そして、そのような交流の頻度が、1年後の総合的な幸福感と関連しているかどうかを調べました。その結果、フェイスブックを利用する時間が長い人ほど、1年後の身体的健康、精神的健康、生活満足感が低いことがわかりました。

したがって、より大きな幸せを求める私たちにとって比較的シンプルな実践法は、ソーシャルメディアを使う習慣をやめる、ということです。この選択をすることによって、気持ちを落ち込ませるような社会的比較をする機会が減り、もっと良い方法に時間を使うことができるようになります。

ソーシャルメディアに時間を費やすときは、良いところだけでなく、本当の自分の生活を紹介するようにしましょう。私は、フェイスブックでは「うちの子どもたち、全員シラミもちなんですよ!」みたいなことを意図的に投稿するように工夫しています。ちなみに、これは、これまでに何度もあったことなんですけどね。

(訳/本多明生)

キャサリン・A・サンダーソン アマースト大学マンウェル・ファミリー生命科学(心理学)教授

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きゃさりん・A・さんだーそん / CATHERINE A. SANDERSON

スタンフォード大学にて心理学の優等学士号と健康と発達に関する専門知識を習得した後プリンストン大学にて心理学の修士と博士の学位を取得。性格や社会的変数が健康に関連する行動にどのように影響するのか不健康な行動を予防するための説得力のあるメッセージや介入方法の開発、人間関係の満足感の予測因子について研究している。これらの研究は米国国立科学財団および米国国立衛生研究所からの助成金の交付を受けている。複数の学術誌の編集委員、教育テストサービス(ETS)の共通試験の心理学委員会メンバー、米国医科大学協会のコンサルタントを務める。2012年にはプリンストン・レビュー誌において全米トップ300の教授の1人に選出された

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