インターネット、携帯電話、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムなど、テクノロジーの進歩は、ある意味、私たちの生活を幸せにしてくれています。なぜならば、このようなテクノロジーは、遠く離れていたとしても、大切な人とつながることを可能にするからです。
ところが、残念なことに、それらのテクノロジーは幸福感を低下させることを示す、はっきりと一貫した証拠が得られています。インターネットが個人の幸福感に及ぼす影響に関する最も初期の研究の一つは、1998年にカーネギーメロン大学の研究者のロバート・クラウトが行ったものです。
彼の研究から、インターネットを利用する人ほど、孤独感や抑うつの割合が高くなり、自宅で一緒に暮らす家族とのコミュニケーションが減少し、人付き合いの関係も縮小することがわかりました。そして、40件の研究結果をまとめて分析した2010年のレビュー論文からは、インターネットの使用は、わずかですが、統計的に有意な悪影響を幸福感に与えることがわかっています。
ソーシャルメディアが孤独に与える影響を調べるために、ウィスコンシン大学のハヨン・ソン教授とその研究チームは、フェイスブックの利用と孤独感の関連性を取り扱った既存の関連研究のデータを分析しました。
研究者がフェイスブックに注目した理由は、フェイスブックが圧倒的に人気のあるソーシャルメディアサイトであり、全世界のユーザーのオンライン利用時間の54%、アメリカのユーザーのオンライン利用時間では62%をフェイスブックが占めていたからです。
孤独を感じている人ほどフェイスブックに魅力を感じる
フェイスブックの利用が孤独感に与える影響に関するさまざまな研究結果をまとめた、この研究からは、孤独感が増すにつれて、フェイスブックに費やす時間も長くなることがわかりました。つまり、孤独を感じている人ほどフェイスブックに魅力を感じるのです。
おそらく、この種の社会的なつながりは、内気な人や社会性に欠けると感じる人にとってより快適であることが一因なのでしょう。しかし、残念ながら、このような人たちがフェイスブックに長く時間を費したとしても、それによって他者とのつながりが感じられるわけではありませんし、孤独感が軽減することもないのです。
別の研究は、ミシガン州アナーバーの住民に毎日5回テキストメッセージを送信して、フェイスブックの利用が幸福感に与える影響を調べました。毎回、住民はフェイスブックをどれくらい利用したのか、不安や寂しさがあるのかどうか、前回のテキストからどれだけ他の人と直接的な交流を行ったのかなどを質問されました。
この研究結果は、フェイスブックを利用することの本当のデメリットを再び明らかにしています。2つのテキストの間にフェイスブックを利用した人ほど、幸福感が減ることが示されました。
さらに、研究期間中にフェイスブックを利用した人ほど、研究開始時と比べて、総合的な生活満足感が低下していることがわかりました。フェイスブックが人々の幸福感を低下させている、という結論はどうやら避けられないようです。
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