マイクロカーの「スマート」、EVシフトの紆余曲折 ベンツと吉利の合弁に中国リチウム大手が出資

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スマートの説明によれば、シリーズAラウンドで外部の資本を導入した後も、吉利とメルセデス・ベンツは対等の出資比率を維持する。調達した資金の使途について、スマートは「グローバル市場での事業展開に振り向ける。具体的な使い道は後日発表する」と、財新記者の取材に回答した。

スマートに出資予定の天斉鋰業は、リチウムイオン電池の原材料の世界的大手だ。写真は同社が開発権益を持つオーストラリアの鉱山(天斉鋰業のウェブサイトより)

なお、天斉鋰業がリード投資家を引き受けた狙いは、事業領域を(リチウムイオン電池の原材料から)サプライチェーンの川下方向に拡大することで、新たな成長機会を模索することにあると見られている。

設計はベンツ、生産は吉利

現在のスマートは中国浙江省の寧波市に本社を構え、販売・マーケティングの拠点を中国とドイツに置く。そのEVは設計をメルセデス・ベンツが、エンジニアリングと生産を吉利が担当している。

本記事は「財新」の提供記事です

新生スマートの第1号モデルである「スマート#1」は2022年6月に発表され、同年9月から中国市場で、2023年3月からヨーロッパ市場でデリバリーが始まった。2023年6月には第2号モデルの「スマート#3」を中国市場に投入。2024年初めにはヨーロッパ市場でも発売する予定だ。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は7月15日

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