中国のEV(電気自動車)最大手の比亜迪(BYD)は4月27日、2023年1~3月期決算を発表した。同四半期の売上高は1201億7000万元(約2兆3212億円)と前年同期比8割増加。純利益は41億3000万元(約798億円)を計上し、前年同期の5.1倍の大増益を達成した。
好業績を支えるのは「新エネルギー車」の販売台数の大幅な増加だ。決算報告書によれば、BYDの1〜3月期の販売台数は前年同期の1.9倍の55万2100台に達した。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
BYDの販売台数の伸び率は業界平均を大きく上回っている。中国汽車工業協会のデータによれば、中国で1〜3月期に販売された新エネルギー車の総数は前年同期比26%増の158万6000台だった。
中国では、新エネルギー車の普及促進を目的にした政府の補助金支給が2022年12月末に打ち切られた。それをきっかけに市場拡大の勢いが鈍化。新エネルギー車メーカー各社は(需要喚起のための)値下げ競争を余儀なくされ、多くの企業で業績が悪化している。
粗利率が5.5ポイント改善
そんななか、BYDは1〜3月期に小型セダン「秦」、高級セダン「漢」、高級SUV「唐」の3車種のマイナーチェンジを実施。そのうち秦と唐には「DM-i」と呼ぶ独自開発のPHV技術を導入し、販売価格を(車格が)同じクラスのエンジン車と並ぶ水準に引き下げた。
秦と唐は競合車種を圧倒する価格性能比で人気を集め、BYDの販売拡大を牽引。自動車販売の業界団体である全国乗用車市場信息聯席会のデータによれば、1〜3月期の新エネルギー車市場におけるBYDのシェアは38.7%に達した。
注目すべきなのは、販売価格の引き下げにもかかわらず、BYDが利益率の改善を実現したことだ。同社の1〜3月期の粗利率は17.9%と、前年同期より5.5ポイント上昇。このことは、激しい価格競争のなかでもなお、BYDが値下げ余力を残していることを示唆する。
同社の創業トップで董事長(会長に相当)を務める王伝福氏は、3月29日に開催した2022年の通期業績説明会で次のように語っていた。
「わが社は10万~20万元(約193万~386万円)クラスの自動車市場で価格主導権を握った。とはいえ、われわれは安定した市場環境を望んでいる。競合他社を追い詰めるつもりはない」
(財新記者:戚展寧)
※原文の配信は4月28日
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