中国新興EVメーカー、全車「59万円値下げ」の賭け 値下げの一方で電池の無料交換サービスは廃止

✎ 1〜 ✎ 36 ✎ 37 ✎ 38 ✎ 最新
拡大
縮小
蔚来汽車の1〜3月期の納車台数は、2022年10〜12月期より2割以上も減少した。写真は5月に発売したSUV「ES6」(同社ウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカーの蔚来汽車(NIO)が、販売不振の脱却を目指して思い切った策略を繰り出した。同社は6月12日、全車種の希望小売価格を3万元(約59万円)引き下げると発表したのだ。

NIOの現在の売れ筋車種は、2023年5月下旬にフルモデルチェンジして発売したSUV「ES6」と、2022年9月末に納車を開始したスポーツセダン「ET5」だ。値下げ後の希望小売価格は、ES6が33万8000元(約660万円)から、ET5が29万8000元(約582万円)からとなる。

価格引き下げと同時に「電池交換サービス」を見直し

車両価格の引き下げと同時に、NIOはオーナー向けに提供する電池交換サービスの見直しを発表した。

同社のEVは、車載電池モジュールを短時間で交換できる設計を採用している。オーナーは、愛車の電池を自宅の充電装置や公共充電ステーションで充電するほか、NIOの電池交換ステーションで充電済みの電池モジュールに取り替えてもらうことができる。

蔚来汽車(NIO)が新たに打ち出した価格戦略(画像:ウェイボーでのNIO公式アカウントで発表された動画のキャプチャ)

同社はこれまで、オーナーに対して複数の形態の電池無料交換サービスを提供してきた。しかし、値下げ後の価格でNIO車を購入したオーナー向けには、無料交換サービスは廃止され、電池モジュールを交換するたびに料金の支払いが必要になった。NIOによれば、交換費用は1回当たり80〜100元(約1562~1953円)だという。

次ページ値下げは「見かけ上」のものという見方も
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT