中国の新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車は5月10日、2023年1~3月期の決算を発表した。それによれば、同社の1~3月期の販売台数は5万3000台に上り、前年同期比65.8%増加。好調な販売に支えられ、売上高は前年同期の2倍弱の183億3000万元(約3566億円)に拡大した。
注目に値するのは、1~3月期の営業損益と純損益がそろって黒字化を達成したことだ。営業損益は前年同期の4億1000万元(約80億円)の赤字から4億1000万元の黒字に、純損益は同1090万元(約2億1200万円)の赤字から9億3000万元(約181億円)の黒字に転換した。
理想汽車は小鵬汽車(シャオペン)、蔚来汽車(NIO)と並ぶ「EV新勢力」の1社であり、販売実績は3社のトップを走る。現時点では大型SUVの「L9」、中型SUVの「L8」と「L7」という3車種を販売中だ。
「中国のEV市場のメーカー希望価格20万元(約389万円)を超えるクラスで、わが社は1~3月期に11%のシェアを獲得した」。理想汽車の創業者兼CEO(最高経営責任者)の李想氏は、決算説明会でそう胸を張った。
「市場シェア拡大が最優先」
「わが社の最優先課題は、さらなる市場シェアの拡大だ。4~6月期は20万元超のクラスで13%のシェアを取りたい」(李CEO)
現在販売している3車種は、いずれも(航続距離延長用の発電専用エンジンを搭載する)レンジエクステンダー型のEVだ。理想汽車は10~12月期に(電池のみで走行する)純EVのフラッグシップ車種を投入するとともに、生産能力を大幅に引き上げようとしている。
同社の生産能力拡大は、ライバルメーカーとの激しい競争にさらされそうだ。レンジエクステンダー型EVは、販売統計のカテゴリー上はプラグインハイブリッド車(PHV)に分類される。2022年以降、中国の自動車市場ではPHVの人気が急速に高まり、販売台数の伸び率は純EVを上回る。
そんななか、複数のライバルがPHVに参入したり、PHVのラインナップを増やしたりしている。(中国のEV最大手の比亜迪[BYD]など)一部のメーカーのPHVは、同じ車格のエンジン車に迫る低価格をアピールしており、理想汽車の車種よりも大幅に安い。
しかし、決算説明会で質問に応じた李CEOは、「競合他社の新型車はわが社の脅威になっていない」と自信をのぞかせた。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は5月11日
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