ソニーFG新社長・遠藤氏「再上場で甘え断ち切る」 元金融庁長官に問われる保険・銀行経営の手腕

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結局、連携というのは人間関係だ。組織作りをするだけではダメで、「あの人だったら信頼してツーカーで話ができる」という関係性を築く必要がある。私たちが問題意識をもって、こういうことがやりたいから連携してほしいという形で(ソニーグループに)積極的に提案していきたい。

例えばプレイステーションはサブスクリプションモデルになっているが、これをさらに進化させたいとする。そうしたときに必ず金融の機能が必要になる。そういう連携についてもすでに考え始めているところだ。

──スピンオフをしてソニーグループの出資比率が20%未満になると、関係性は希薄化しませんか。

資本関係が100%から20%になったとしても、関係性が大きく変わってしまうとは思わない。人間同士の信頼関係は変わらないからだ。それに、FGにとってのスピンオフの意義は大きいと考えている。

まず(グループ内での)プライオリティーでは、金融はどうしても低くなりがちだった。2020年に100%子会社化してからM&A(合併・買収)などの議論をしてきたはずだが、ゲームや半導体で巨額の投資が必要になっている中、どうしても優先順位が低かった。

ソニーフィナンシャル遠藤社長
「FGにとってスピンオフの意義は大きい」と語った遠藤社長(撮影:今井康一)

肝心なのはソニーというブランドを使い続けられる状態で、ソニーFGが独自に上場し、資金調達できるようになることだ。ソニーはブランドの利用に厳しい会社で、子会社以外にブランドの利用を認めたことはない。そのステータスが得られるのは大きい。

一方で、甘えも断ち切られる。ソニーというグループにぶら下がっていることで、どうしても議論が内向きになる傾向があった。(スピンオフで)そうしたことは言っていられなくなる。

部長級チーム立ち上げ議論をスタート

──​年内にもスピンオフの詳細を公表する見通しです。IPO(新規株式公開)は1兆円規模になると目されています。現時点で決まっていることは。

十時さんとは昨日も会って(注:インタビューは7月25日に実施)、スピンオフやIPOについて話をしたところだ。ただ、詳細はまだ詰まっていない。そもそもこの規模の企業でスピンオフをするのはおそらく日本初の試みで、すべてこれからという段階だ。

4月の社長就任発表後、5月の大型連休明けからは部長や執行役員クラスを中心に社内でヒアリングを進めてきた。すると「今のままじゃつまらない」という声もたくさん聞こえてきた。そういう思いの強い人たちに集まってもらって、チームを作った。

先週キックオフしたばかりだが、このチームを中心に(上場に向けた)エクイティストーリーや中期経営計画を作っていくことになるだろう。私も生保、損保、銀行、ライフケア(介護事業)の4社の社長と毎週議論をしていく。

この先数カ月間は、部長クラスとキャッチボールをしながら週単位で議論を進めていきたい。

梅垣 勇人 東洋経済 記者

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うめがき はやと / Hayato Umegaki

証券業界を担当後、2023年4月から電機業界担当に。兵庫県生まれ。中学・高校時代をタイと中国で過ごし、2014年に帰国。京都大学経済学部卒業。学生時代には写真部の傍ら学園祭実行委員として暗躍した。休日は書店や家電量販店で新商品をチェックしている。

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