ソニーFG新社長・遠藤氏「再上場で甘え断ち切る」 元金融庁長官に問われる保険・銀行経営の手腕
──2020年に金融庁を退職されてから、どういう経緯でソニーグループに関わることになったのですか。
辞めた直後に経済界の知り合いと食事をした。そのときに「この後どうするんだ」という話をしていて、「決まっていない」と答えたところ、ソニーに関心はないかと聞かれた。金融グループを抱えているとはいえ、ソニーのことはまったく頭になかった。でも言われてみたら面白そうだなと考えて、紹介してくださいとお願いした。
それで十時さん(十時裕樹・ソニーグループ社長)と何回か会って、ソニーには顧問という制度はないけれど、「シニアアドバイザーという制度はある」ということで行くことにした。
まずソニー株式会社に行ったが、半導体やゲームについては見せてもらったり教えてもらったりすることのほうが多かった。一方で私の専門分野は金融。金融について聞かれれば、いろいろとアドバイスすることもできる。実際に相談を受けてさまざまな議論をした。
2022年の夏からはソニー生命保険の取締役会にも参加していた。前任の岡昌志・ソニーFG社長に参加してほしいと言われたからだ。ソニー生命というのがどういう会社なのかということについては、過去1年間の取締役会の議論を通じてみることができた。
損保・銀行がソニー生命と平等にならなければ
──今のソニーFGはどのような課題を抱えているのでしょうか。
設立から40年経った対面営業を強みとするソニー生命と、ネット金融のフロントランナーであるソニー損害保険やソニー銀行は、それぞれの領域で成功している。ただ、それだけに「個」が強い。要するにソニーFG全体として付加価値を上げようという発想が足りない。
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