地理を「学ばない人」「学ぶ人」に大きな差がつく訳 社会に出た今こそ身につけたい教養とは

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たとえば、

①時差(アメリカからの中継を見ているとき、現地時間は?)
②統計地図(毎日見ているテレビには多くの統計地図が掲載されているが、その見方は?)
③GNSS(全球測位衛星システム)(われわれが日々使用しているGPSとは?)
④プレートテクトニクス(どうして日本は地震や火山が多いのか?)
⑤自然災害と防災(災害が生じやすいところと生じにくいところの違いはいったい何だろう?)
⑥地球環境問題(温暖化を防止するためには、どのような施策があるだろう?)
⑦食料問題(日本の食料自給率は先進国の中で、ダントツに低い! こんなに低いままで大丈夫なのだろうか?)
⑧民族・領土問題(ロシアによるウクライナ侵攻を許していいのか? 北方領土問題・竹島問題を抱える日本にとっても他人事ではない)
⑨エネルギー問題(電気代がこんなに高騰しているのはどうしてだろう?)
⑩少子高齢化問題(どうして日本はこんなに少子高齢化に苦しんでいるんだろう?)

など、挙げればきりがありません。

われわれが日常的に触れているニュースは、ほとんど地理に関係していると言っても過言ではありません。しかも、課題解決への道は、地理に凝縮されているのです!

例として、食料安全保障を考えると…

今回は、⑦食料問題について少しだけ具体的な事例を挙げつつ、お話ししてみたいと思います。食料問題といっても多岐にわたりますが、昨今話題の「食料安全保障(フードセキュリティ)」についてともに考えてみましょう。

食料安全保障とは、そもそも何なのでしょう? 簡単に言うと、単なるカロリーの摂取ではない、量的・質的・文化的に十分な食料を誰もが、いつ・いかなるときも享受できる状態を目指すことです。

世界の食料安全保障の確立の前に立ちはだかる課題は、人口増加による食料不足だけでなく(1)流通の問題、(2)水資源問題、(3)土壌劣化問題、(4)富裕な国・企業・投資家による土地買収問題、(5)気候変動による農作物の減産問題、(6)独裁と盗奪政治など多様ですが、これらのテーマも全て地理で取り扱う内容です。いかに地理で取り扱うテーマ・内容が人間の生活に密着しているかわかっていただけるのではないでしょうか。

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