今では400万円台も、80年代の名車ヤマハRZV500R レーサーレプリカ・ブームを代表する1台に迫る

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そんなRZV500Rが2023年3月に開催されたバイクの一大展示会「東京モーターサイクルショー」で、オートバイ買取事業を手がける「バイク王」が運営するビンテージバイク専門店「バイク王絶版車館」のブースに並べられていた。約40年前に発売された古いモデルながら、見事にレストアされた車体は、1980年代に青春時代を送った筆者にとって、当時を想起させるほどの美しさ。だが、中古車の相場価格は、なんと400万円台の車体もあるとのことだから、発売当時の価格よりも5倍近くも高い。相場が高いということは人気もあるということだが、それにしても、かなりの高値だ。

一体、なぜ、それほどの金額を出してまで、このモデルに惹きつけられる層がいるのだろうか。ここでは、レーサーレプリカ・ブームという時代の流れにより生まれたRZV500Rに関し、その魅力などを改めて振り返るとともに、価格高騰の背景などについても検証してみたい。

RZV500R登場の時代背景

メーター
RZV500Rのメーターまわり(筆者撮影)

RZV500Rは、ヤマハが1980年に発売した「RZ250」が元祖といえるだろう。当時のヤマハは、WGPの250ccクラスなどでも、2ストロークエンジンを搭載したマシンで闘っていたが、そのテクノロジーを投入したのがRZ250だ。

247cc・2ストローク並列2気筒エンジンを搭載したRZ250は、最高出力25.7kW(35.0PS)/8000rpm、最大トルク29.4N・m(3.0kgf-m)/8000rpmを発揮。リッターあたり140馬力を誇る高出力エンジンや、ヤマハ独自のモノクロスサスペンション、軽量なキャストホイールなどが生み出す圧倒的な走りで、一斉を風靡したモデルだ。

当時から2ストロークエンジン車は、年々きびしくなる排気ガス規制などに対応することが難しく、他メーカーでは、より対策しやすい4ストロークエンジンへの移行を進めていた。ところが、ヤマハは、それまで空冷が主流だった2ストロークエンジンを、レーシングマシンと同じ水冷にしてRZ250へ搭載。排気ガス規制の対策はもちろん、軽量・コンパクト化による運動性能の向上、そして、同じ排気量の4ストロークマシンを大きく上まわるパワーを実現した。

次ページ当時は斬新だったフルカウルを採用した最先端マシン
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