ニデック永守氏が「敵対的でもほしい」企業の実像 工作機械の買収で狙うのは岡山県の「TAKISAWA」
これまでに71社を買収し事業を拡大してきたニデック。工作機械業界にも買収を通じて参入した。皮切りとなったのは、2021年の三菱重工工作機械の買収だ。その後、OKK、イタリアのPAMAと3年連続で買収を行ってきた。
だが旋盤メーカーは、まだ手中になかった。ニデックの調べでは、工作機械市場の機種別比率で旋盤は33%を占める。旋盤が手に入れば、顧客に提案できる自社製品の幅が広がる。モーターなどの内製化を進めて他部門の製品をコストダウンできるという側面もある。
TAKISAWAの製品は仕向け地ベースの売上高(2022年度)で日本向けが34%、アジア向けが40%を占める。ニデック傘下の企業で欧米向けの販売網を補完できるとニデックはにらむ。
「社数集約が必要」は共通認識だが
工作機械業界では、社数を集約すべきという共通認識が長らく持たれてきた。「日本の工作機械メーカーは数が多く、世界的に戦うには集約しないといけない」(工作機械を手がけるメーカーの社員)。
ただ、総論としては社数の集約に賛成でも、いざ自身が買収される立場となると、各論反対となる可能性は十分にある。TAKISAWAも昨年はニデックからの資本業務提携を断っている。
2023年3月現在におけるTAKISAWAの株主構成はどうなっているのか。有価証券報告書に記載の「所有者別状況」によると、「個人その他」が61.9%の株を所有する。
大株主のほうは、信託銀行を除くと、8.6%の取引先持株会、4.7%のファナック、4.53%の中国銀行が保有比率の上位に名を連ねる。このうちファナックは旋盤に組み込むNC(数値制御装置)の調達元とみられる。
経営陣が買収を拒否したいと考えても、創業家など「味方」になってくれそうな大株主はいない。
「(TAKISAWAは)どうやってPBRを1倍以上に持っていくのか。うちと一緒になったらいっぺんに持っていけますよ。両社にとって幸せな話を提言している。誰かが窓を開けないと進まない」。決算説明会で永守氏はそう力を込めた。
TAKISAWAは今後、買収に賛同するのか。もし拒否するなら、2600円というTOB価格を上回る企業価値向上策を株主に示す必要がある。
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