日曜劇場「VIVANT」"半沢直樹超え"見据えた勝ち筋 "日曜劇場アベンジャーズ"企画は吉と出るか
ドラマのタイトルであり、乃木の隠された秘密と関係があるらしい「VIVANT」(乃木のスマホに「VIVAN」のアイコンがあったと話題になっていた。どんだけ動体視力がいいのか)という言葉は、フランス語では「にぎやかな」「活発な」という意味があり、活劇みたいなこのドラマを言い表しているようにも思える。
堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、元力士のユーチューバー・富栄ドラムの逃走劇は楽しく見られた。排泄物のくだりは、悪ノリしすぎな気もしたが、堺も阿部も二階堂もいい意味で漫画っぽい演技のできる俳優なので成立していた。
とりわけ堺は映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』(2017年)などのファンタスティックな作品にもハマる俳優だ。既存の漫画やアニメのキャラになりきる2.5次元とは違う、生身の人間が漫画やアニメのような超越した存在に肉薄することのできる俳優なのである。演劇をやっている人にはそういう人たちがいる。堺が爆弾を体に巻いているテロリストを見て、のけぞり、怯える動きは身体表現を大事にしてきた俳優らしさがあった。
ローマ人ならぬアラブ人かと思った、と言われる顔が濃くて背丈のある阿部寛との組み合わせも、濃い2人が食い合うかと思ったら、いい感じのバディになっていた。
「Netflix」を意識か
乃木の高校時代からのアメリカの友人でCIAのサム(マーティン・スター)が好きな「ルパン三世」のようなアクションを生身の俳優たちでやろうとする意欲は買いたい。
その一方で、林原めぐみが、あくまで声優として参加していることも声の仕事へのリスペクトを感じて好感触であった。CIAの友人がバルカ共和国のことをたまたま調べていて、いい感じに協力してくれるという、まさにアニメの世界である。
ビジネスもの、サスペンスもの、医療ものと日曜劇場の人気題材を盛り込むなかで、この、ちょっとアニメのような冒険活劇風味こそが新機軸であろう。馬、ラクダ、羊と動物もいっぱい。ラクダに乗った中央アジアの民族の父子が星空の砂漠を歩く画や、少女がパンを焼くシーンなどはジブリアニメのよう。
ビジネスもの、警察もの、医療ものに冒険活劇と、ファミリーで見られるドラマを真剣に模索しているように感じる。無国籍感は、配信で海外にもーーという狙いであろう。かなりNetflixを意識しているような印象である。
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