【後編】トラブル続出「定年後再雇用」のQ&A 更新上限の年齢を超えて働く人、どう対応?

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⑴ 定年後再雇用と雇止め法理

定年後の初回の労働条件の設定と異なり、契約更新時には、定年後再雇用による有期契約の実績(手がかり)があるため、労働契約法19条の雇止め法理の適用があります。また定年後再雇用の場合、高年法の定めから、少なくとも基準年齢(65歳以上で会社の規定年齢)まで継続雇用されることについての合理的期待が生じていると認定されやすいといえます。

そのため、使用者側が主張する雇止めの理由や、この条件変更に応じなければ契約更新できないという理由が合理性を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなされてしまいます。

実際に定年後再雇用を2回更新した後の雇止めについて、人員整理を含む人件費削減の抽象的な必要性があったことは理解することができるものの、元従業員に対して提示した賃金額は、当時の具体的状況においてやむを得ないものであるという根拠を具体的に検討したものであるとは認められない等として違法と判断された裁判例もあります(図表⑩「テヅカ事件」)。

(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

(本書より引用)

初回の再雇用契約をどう定めるかが大切

⑵ 実務上の対応

契約更新時には雇止め法理の適用があり、雇止めが無効となったときには従前と同じ条件で契約更新したものとみなされてしまう可能性があるので、定年後の初回の再雇用契約をどう定めるかが非常に重要です。

またその際には、「これは初回の契約内容であり、本人の健康状態、業務量や業務内容の変化、会社の経営状況等を踏まえた変更があり得、双方が合意した場合に契約が更新される」などを強調し、更新の都度、円滑な交渉ができるようにしておいたほうがよいと考えます。

そして、実際に更新時に条件変更の提案をするのであれば、前もって、「新型コロナウイルスの影響で業務がなくなってしまった」「健康状態の悪化がみられるため、勤務日数、労働時間を減らすことが必要と判断した」「勤務態度不良(パワハラ等)が理由で、従前の業務をそのまま行なってもらうことができなくなった」「業務内容が非常に簡単になるため、賃金額を変更する」など、具体的な理由を説明する必要があります。

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