ビッグモーター、国交省聴取は「終わりの始まり」 国交大臣が不正の調査を明言、処分も確定的に

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こうした報道を受けて、ビッグモーターは自動車保険の保険金不正請求問題で「当社板金部門における不適切な請求問題に関するお詫びとご報告」と題するプレスリリースを7月18日に発表した。

18日に出たプレスリリース。報道や大臣コメントが影響したか/出所:ビッグモーター公式サイト

このプレスリリースでは調査報告書の全容を公開している。わずか2週間前の7月5日、「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」と題したプレスリリースでは全部で400字にも満たないほど薄い内容、しかも保険金不正請求に関する報道を知らない者が見たら「何のことか、さっぱりわからない」内容だったのだが、様変わりしているのだ。

一方、超さっぱりしていた5日の「お知らせ」/出所:ビッグモーター公式サイト

私の知る限り、ビッグモーターがこれほど長文の、しかも「まともなプレスリリースの体裁」を取っているプレスリリースを出したのは初めてではないだろうか。これまでは「木で鼻をくくった」かのような文章だったのが、一変しているのだ。

蛇足ながら、約10日前の私の記事で7月5日のプレスリリースの問題点として指摘した「一般には馴染みのない『鈑金』という単語を使っている」「不安を抱く顧客の問い合わせ先すら掲載されていない」という問題点は改まっている。これらの点を見ると、この期に及んで、どこかのPR会社に助けを求めたのかもしれない。

なお、今回のプレスリリースに記載されたアドレスに東洋経済オンライン編集部が質問事項を送付したところ、「当社には、広報部門が存在せず、皆様にはご迷惑をおかけしましたことお詫び申し上げます」との返答があったことも付け加えておく。

ビッグモーターはこの2週間で「悔い改めた」のか?

では、ビッグモーターはこの2週間で「悔い改めて」調査報告書の公開に踏み切ったのか。そうではなく、私は公開せざるをえない状況に追い込まれたと見ている。

前述の通り、この1週間、ビッグモーターに関する調査報告書に関する記事がメディアを賑わせてきた。ビッグモーター自身は相も変わらず、「完全沈黙」を貫いているにもかかわらず、だ。

誰がメディアに情報を流しているのか。情報源は少しでも取材経験のある者なら、一瞬でわかる。情報源は確実に保険会社だと断言できる。しかも、自ら積極的にメディアに調査報告書の内容を「提供」していると、私は見ている。

当事者の口が堅い場合、周辺を洗うのは「取材の基本」だ。ビッグモーター自身が調査報告書の詳細を語らないのであれば、記者は当然、報告書を受け取る立場であり、かつ、ビッグモーターを庇う筋合いのない保険会社に当たる。

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