ビッグモーター、国交省聴取は「終わりの始まり」 国交大臣が不正の調査を明言、処分も確定的に

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私が今回、保険会社が積極的に「情報提供」しているとにらんでいるのは、実に多くの報道機関が調査報告書の内容を詳細に報じているからだ。明らかに保険業界を専任で取材する記者を置いていないメディアまでも調査報告書の詳細を記事にしている。

これこそが普段、出入りしていない「一見の」記者にも情報提供している証左ではないだろうか。保険会社としてもビッグモーターのあまりに不誠実な情報公開の姿勢に、大いなる義憤を抱いているのかもしれない。

ビッグモーターをめぐる報道は今後どうなる?

さて、私は前回の記事でビッグモーターの不正が調査報告書によって認定されたことで、「完全黙殺」の綻びが生じたことを記した。手前味噌ながら、現在のところ、おおよそ想像通りの展開となっている。

(関連記事:ビッグモーター、不正の認定で「黙殺戦略」に綻び

そこで、ビッグモーターに関する報道は今後、どのような展開を見せるのか。私の取材経験とPR戦略コンサルタントとしての経験を基に予測したい。結論から言うと、今後、ビッグモーターの不正報道ラッシュが起きると見ている。

理由のひとつめだが、今回のビッグモーターの不正は調査報告書の内容が明らかになった今となっては、記者にとって取材しやすい案件ということだ。

というのも、調査報告書の公開「前」であれば、記者は「どの店舗でどんな不正があったか」を最初から調べなくてはならない。だが調査報告書で判明しているだけでも、全体の4割以上の店舗で不正があったという。つまり、どの店舗を取材しても高確率で「不正の実態」にたどり着くことができるということだ。記者としては、調査報告書の内容をなぞるだけでよいということになる。

そして、もうひとつは政府による動きが活発化することだ。ビッグモーターが遅ればせながら調査報告書の内容を公開した日の朝に開かれた、斉藤鉄夫・国交大臣の記者会見でのやりとりに注目したい。

国交省ホームページによると、大臣記者会見で以下の質疑がなされたという。

(記者)
(略)国土交通省としての受け止めと、この事案に対して、対処を検討されているのかについてお聞かせください。
 (大臣)
(略)国土交通省としては、今般の報告書に係る事案に関して、道路運送車両法に違反する疑いがないか、今後、同社からヒアリングを行うこととしており、その結果を踏まえ、適切に対応していきます。(中略)もしそういうことがあったとしたら言語道断の話だと思います。我々も直接会社からヒアリングを行って、適切に対応していきます。

ビッグモーターをめぐる報道の今後を占ううえで、この大臣会見で私が着目したポイントが2点ある。

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