北陸新幹線の開業により、信越線の横川~軽井沢間が廃止されて、この区間に貨物列車は通れなくなったし、現在建設中の北海道新幹線(新函館北斗~札幌間)の開通とともに、函館本線の長万部~小樽間の廃線もほぼ決まった。
こうした中で、2024年問題だけでなく、CO2排出量を抑えるためにも、輸送エネルギー効率の良い鉄道へ戻す動きが各地で見られる。
JA全農と農産物の輸送を手掛ける全農物流は、2023年7月から東北や新潟などのブランド米を専用の貨物列車で関西方面へ輸送する、本格的な実証実験を始めている。
7月2~3日には、JR貨物が所有する貨物列車を借り上げ、「全農号」として約500トンのコメを積載できるコンテナ100基を使い、青森県八戸市から大阪市まで、1日かけて輸送した。
青森の銘柄米「まっしぐら」だけでなく、宮城・岩手県の「ひとめぼれ」、秋田県の「あきたこまち」、新潟・石川県の「コシヒカリ」などが運ばれ、試算ではコストに加えて、CO2排出量も10分の1程度に抑えられたとしている。
「貨客混載」で効率化を図る
また、コロナ禍で旅客収入が激減したJR各社では、2021年前後に新幹線や在来線の特急を利用した荷物輸送サービスを開始し、少しずつ浸透してきている。JR東日本では、新幹線による荷物の輸送サービスに「はこビュン」という名称をつけ、専用ロゴやポスターなども作成し、PRを図っている。
さらに、JR以外の民間鉄道(私鉄)にも、この動きは広がり始めている。
東海、関西に路線網を広げる近畿日本鉄道は、2021年から福山通運と共同で、名古屋と大阪を結ぶ名阪特急「アーバンライナー」の空きスペースに業務用の荷物を積む「貨客混載」をスタート。これまで難しかった、大阪~名古屋の当日配送を可能にした。
実施後1年を経過した総括では、トラック輸送からの切り替えにより、実施開始から10カ月間で抑制されたCO2排出量は18.7トン相当、ドライバーの運転時間は約980時間が削減されたとしている。
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