連休明けの「マーケットの波乱」に注意せよ 世界でジワジワと忍び寄る「不安」とは?

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最も目を引くのは、米国長期金利の動きだ。前述のように、足元発表される経済指標が弱いにもかかわらず、10年国債利回りは、じわじわと2%台に上昇し(国債価格は下落し)、前週末の金曜日(5月1日)は2.1%を超えて引けた。

すなわち、とうとう米株安や米ドル安に加えて、米国債安も始まってきた。今はまだ動きは大きくないが、そのうち米国市場のトリプル安が地滑りのように発生し、それに日本市場も巻き込まれる展開は否定できなくなってきた。

そうしたなか、今週連休明け(5月7日(木)~8日(金))の日経平均は、連休中の米国株・円相場の動向によっては、かなり上下に跳ぶ可能性が高く、1万9300~1万9900円と広いレンジを見込む。

もし調整があっても、狼狽売りはするな

ただし、繰り返しになるが、日米等の経済状況に深刻な悪化が生じているわけではない。大きな市場波乱の「本尊」は、米国市場が、買われ過ぎから適正水準へいったん修正することに過ぎない。そうした修正が、大幅なものであっても終ってしまえば、その後は再び内外経済実態の改善に沿った、世界的な株高基調が戻ってこよう。

とすれば、世界的に株価が大きく下落した局面は、買い場である。ただし、買い場で投資できる現金を持っていなければならない。そのため、高値での株式の現金化を、前回から勧めているわけだ。

もちろん、長期的には株価上昇基調に復すると考えているので、数年単位で株式を保有しようという投資家は、何もあわてる必要はなく、そのまま株式を保有していてもよい。毎月積立で、株式投信などを買っている投資家も、特に何もする必要はないだろう。

株価の大幅下落が起こってから、「世界の株式市場は地獄に落ちる」などの発言に惑わされ、慌てて最安値で株式を売ってしまう、ということだけはしないで欲しいと思う。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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