避難所を支える洗濯機、静岡・伊豆の国のメーカーがボランティア
津波で自宅を失った人など400人以上の市民が寝起きを共にする多賀城市総合体育館(宮城県多賀城市)。その入り口付近に大型車両が横付けされ、2台の業務用洗濯機が一日中がらがらと回り続けている。
被災地に乾燥機付きの洗濯機を搭載したトラックで乗りこんだのは、静岡県伊豆の国市に本社を構える業務用洗濯機メーカー・東静電気の社員である須田雅太郎さん(同社開発技術1部開発1課主任、上写真右)。同僚の山崎義一さん(同社開発2部開発2課、上写真左)も援軍として加わった。
「洗濯を通じて、被災者の皆さんのお役に立ちたい」と須田さんは力を込める。炊き出し、お風呂、仮設トイレ……。避難生活が長期化する中で、ボランティアや自衛隊がさまざまな支援を行っている。ところが、「洗濯の提供はあまり例がなく、支援メニューの中で盲点になっていた」と須田さんは指摘する。
津波の被害が大きい多賀城市では、今でも被災地域を中心に停電や断水が続いている。被災地では洗濯機を含む家電製品の多くが水に浸かり、使い物にならない。避難所の多くも断水しており、「洗濯をしたくてもできない」という住民が少なくない。
そうした中で、須田さんらが持ち込んだ洗濯機が大車輪の活躍を見せている。朝8時に洗濯機は稼働を開始。「1日25組が精いっぱい」(須田さん)というが、避難している住民から重宝されている。
須田さんらが多賀城市にやってきたのは4月6日。多賀城市と伊豆の国市は「あやめサミット連絡協議会」に共に加盟する友好都市の間柄で、須田さんによる「洗濯での支援」の提案は経営者から伊豆の国市を通じて多賀城市に伝えられた。現地に到着して以来、多賀城市総合体育館、多賀城文化センター、山王公民館の3カ所を順番に回っている。
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