水戸岡デザインは古い?「観光列車」に新時代 これからの楽しみは"乗る"だけじゃない

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「フルーティアふくしま」の車内は喫茶店のような雰囲気

フルーティアふくしまのコンセプトは「走るカフェ」。車内は喫茶店のような雰囲気でまとめられており、福島県産のフルーツを使ったスイーツやコーヒーを味わえる。この列車が走るのは、郡山―会津若松間。およそ1時間の旅だ。

2両編成で、1両は座席とテーブルが配置されたカフェ車両。もう1両には、車両全体に広がるカフェカウンターがある。ここでは、お菓子やお酒が販売される。多くの観光列車には物販スペースが設けられているが、ここまで大きいものは珍しい。

ぶらり旅を楽しめる観光列車

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レトロな外観が魅力の、伊豆急行「ぶらり旅」号

伊豆急行「ぶらり旅」号は、1961年に製造された「伊豆急100系」の車両を再生したものだ。

老朽化により2002年に廃止されたが、1両だけ営業用車両として復活、イベント時に活躍している。他社のようにきらびやかな観光列車ではなく、古さを売りにしているのが特徴だ。

ぶらり旅号は、単に車両に乗って食事を楽しむだけではない。途中下車して沿線の名所を旅することができるのが最大の特長だ。

伊豆高原→伊豆急下田のコースは、伊豆稲取で途中下車し、パワースポットで知られる「かやの寺」を訪問する。伊豆急下田→伊豆高原のコースは、熱川で途中下車し、近くにあるホテルの露天風呂に入浴できる。まさに旅番組さながらの「ぶらり旅」を楽しめるのだ。途中で数分程度停車して駅舎を見学できる観光列車はあるが、1時間も沿線を観光できるのはユニークだ。

豪華な車両でおいしい食事を提供するだけが観光列車ではない。創意と工夫で観光客を呼び込む取り組みはいくらでも可能だ。“観光列車2.0”が今後どのように発展するか、非常に楽しみだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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