中国のリスクは「破壊」と「創造」の空白期 エコノミストの肖敏捷氏に聞く
問題は、「創造」より「破壊」のほうが先行しがちな点だ。例えば、過去数年間、不動産バブルを抑制する政策が実施されてきた結果、不動産投資が冷え込み、経済成長をけん引してきた固定資産投資の減速ぶりが目立っている。
これに対し、行政から市場への転換とか、民間企業の育成とか、経済成長の中身から牽引役まで新しい中国経済を構築するには相当時間がかかるだろう。
そうすると、中国経済が直面しているリスクは、「破壊」と「創造」の時間差から生じる「空白期」だと考えられる。例えば、固定資産投資や雇用創出などの面では、地方政府は中国経済の主役だったが、資金調達から許認可権まで様々な制限を加えられてきた結果、地方経済の委縮が進んでいる。また、汚職腐敗の摘発強化で数多くの政府幹部や国有企業の経営者が失脚し、現場では責任者不在や人材不足といった空白が生じている。
海外展開への活路と自信
しかし、この「空白期」への対応を怠れば改革にも影響が出るため、景気刺激にしろ、規制緩和にしろ、中央政府がせっかく様々な対策を打ち出してはいるが、現場まで届かずに空回りしているケースは少なくない。
最近、地方政府の債務問題を解決するため、借換債の発行を認めたり、鉄道などインフラプロジェクトの建設を次々と許認可したりすることによって、この「空白期」による経済や社会への影響を最小限に食い止めるため、中央政府は地方政府に救済の手を差し伸べようとしている。当分、「破壊」と「創造」の間を行き来するのは現実的な対応ではないか。
――「一帯一路」構想やAIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立は国際社会で大きな話題となりました。
国内景気が下り坂にさしかかろうとしているが、高成長時代に築き上げた巨大な生産能力をどう調整するのか、淘汰より活用する方法がないのか、いろいろな検討をした結果、海外に活路を見つけるのが一つの選択肢として浮上してくるのは当然のことであろう。また、巨額な外貨準備も抱えているため、資金面でも技術面でも海外展開に対するそれなりの自信ができたかもしれない。
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