電気がなくても営業できるスタイルがあればいい--ディナーレストラン運営のHUGE・新川義弘社長

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 ただ、真っ暗なのは変わらないので懐中電灯を照らし、手元で簡単に調理できるものにしなければならない。パスタや揚げ物といった一瞬の熱を必要とする食材は、逆に難しい。

ここまでの準備を考えることができたのは、実は東日本大震災によりライフラインが断絶した仙台店で、すでにこうしたことが実施できたからだ。彼らが計画停電になっても、原始的な対応をすれば、食材の供給にはほとんど問題ないということを証明してくれた。

--電力不足が懸念される今夏に向け、どう対応しますか。

オイルキャンドルは全店で倍の16個は確保する。当然購入コストはかかるが、通常の照明を使っている状況と比べれば、グロスのコストは下がる。

食材そのものの変更を検討している。既にスープに使うトマトソースやミートソースの具は、火入れをしやすいものに変え始めている。煮込みにニンジンは30分かかるが、ズッキーニは10分で済む。粗熱を取らなければいけないトマトソースやミートソースの具は、電力を消費するし、冷房効率も悪くする。節電効果が見込める食材の変更ができないか、現在色々アイデアを集めている。

また、冷房を従来の24度から、26度に引き上げる予定だ。もともと飲食店はディナー店など高級になればなるほど、男性でスーツを来ている人に空調温度を合わせている。一方で、女性は寒さにブルブル震えている。

「上着を着なくてもいいですよ」という告知を店内やホームページに出すことで、節電に協力してもらう。

--お客さんに受け入れてもらえるでしょうか。

銀座の「ダズル」など一部高級店を除き、店員のユニフォームも刷新する。汗の吸収が良いのは綿のTシャツ。これまでフロアの従業員のみ着用していたが、梅雨の時期から店長にもTシャツの着用を義務付ける。現場からの反発は一部あったが、敢行する。

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