歯学部で挫折して中退「自衛隊」に入った彼の顛末 浪人や社会人経験を経て彼が気づいたこと

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山口県で教育を受けたGUSTONさんは、部隊配属で航空自衛隊に入り、岐阜で4年間の勤務を経験します。「楽しかった」と語るようにワクワクする日々を過ごしましたが、辞めて歯学部に入り直す決断をします。

【2023年7月10日14時10分追記】初出時、自衛隊の記述に事実と異なる部分がありましたので、上記のように修正しました。

「生活自体は楽しかったのですが、環境が合わなかったんです。仕事をしていてつらいわけではなかったのですが、集団行動が取れなくて仕事がうまくいかなかったんです。任務でいい上官に巡り会えましたし、自分の成長も実感できたのですが、生涯続けることはできないと思い、辞めることにしました」

そう考えたGUSTONさんは、前の大学で取得した単位が足りていたこともあり、化学・生物・数学・英語などを勉強し、編入試験で歯学部に入り直すことを決意します。

「自衛隊を辞めたのは2020年の3月でした。辞めるときに結構勇気を出したので、この勢いのまま、中退して心残りのあった歯学部にもう一回挑戦をしてみようと思ったんです。半年くらい介護の資格を取る勉強をして介護職についてから、8月ごろから化学・数学・英語などの受験勉強を本格的に始め、11月~翌年3月にかけて新潟大学・東京歯科大学・福岡歯科大学の編入学試験を受験しました。今年で30歳になるし、年齢的にもラストチャンスだと思って、仕事の合間に頑張って受験勉強をしていました」

そして自衛隊を辞めてからちょうど1年、GUSTONさんはそのうちの1校、福岡歯科大学の2年次編入試験に合格しました。

自衛隊で鍛えられたことで、勉強に対する姿勢が変わりました。その経験が礎になったことで、合格できたのだと思います」

こうしてGUSTONさんは歯学部に入り直すことができました。

仕事をしながらの勉強が今に生きている

高校卒業後2年、自衛隊退職後1年と合計3年間の浪人生活を送ったGUSTONさん。

彼は浪人してよかったことを「自分の成長につながるいいきっかけになった」と語ります。

「前半の2年間は意味のない選択だったと思います。でも、自衛隊を辞めてからの1年は、自分を見つめ直すいい機会になりました。私は介護の仕事をしながら受験勉強をしましたが、勉強一本ではなくて、何かをしながら勉強をしたほうが集中できるタイプだとわかりました。それは、今の歯学部での試験勉強にも生きています」

次ページ前半と後半の浪人生活に思うこと
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