西日本は、今のままでは復興支援基地になれない
神戸市は、市内にある7施設の25オフィスと工場10区画を最長1年、敷金・賃料免除で、被災企業に代替拠点として提供する。また神戸市や企業、研究機関で構成する、神戸医療産業都市構想研究会は、被災で研究継続が難しくなったライフサイエンス関連分野の研究者、研究機関に、神戸市の8機関12施設の協力を得て、研究スペースや設備機器の1年間無償貸し出しを行う。
大阪府は、部品発注や加工、試作などの生産ニーズに応える企業を府下登録企業や提携金融機関の情報から探し出す「ものづくりB2Bネットワーク」を、被災地支援に活用する。当初は避難している人や生活再建を目指す人たちへの支援物資としての製品の供給を目指す。ゆくゆくは「産業再生、復興需要にも対応できる。部品が足りなくて工場が再稼働できない被災地の工場、あるいは全面的な生産受託といったニーズに応えられるものづくり企業を探す支援をする」(大阪府商工労働部)。
大阪商工会議所も全国338の商工会議所と商工会が共同運営し、大商が事務局を務める企業情報サイト「ザ・ビジネスモール」に「震災復興支援モール」を開設した。当面の代替品や代替生産先探しに活用してもらう。西日本に受け皿のメニューが少しずつそろい始めている。
もっとも、これらはあくまでも受け入れ側だけの話。各自治体や経済団体の支援策が、被災した工場関係者に届いているのか、ニーズをくみ取ることができるのか、根本的な課題がある。関西経済研究センターの廣瀬所長は「やはり現地に行ってニーズを拾わねば。各府県の被災地工場支援も担当県を決めて、足りないところは融通し合うようにすればいい」と、被災者支援で実効を上げている関西広域連合方式を提案する。
震災影響による海外流出をどれぐらい食い止めるか。関西や西日本だけの問題でなく日本全体の問題だ。
(週刊東洋経済編集部 −週刊東洋経済2011年4月23日号)
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