西日本は、今のままでは復興支援基地になれない
一方、中長期はどうか? 無傷の関西や西日本の生産拠点が、被災した東北のメーカーを肩代わりする代替拠点となったり補完することで、復興経済の牽引役となるようなシナリオは成り立つだろうか。
パナソニックは、被災地や首都圏で品薄となった乾電池の増産を、大阪・守口工場で行っている。被災地で求められる食品や生活物資などの製品、被災した工場と同じ製品を造っている場合は、関西や西日本が受け皿になる、というのは比較的無理のないことだ。
ただ、そうした動きが工業製品など多くの分野に広がっていくことについては「容易ではない」とする見方が多い。りそな総研の荒木秀之主任研究員は「電子部品や自動車部品など輸出主力の製品は、もともと海外投資による現地生産を積極化する流れだった。その流れが続いて、海外への移転、あるいは海外生産強化となる可能性が高い。震災が海外移転を一層加速させる格好になる」と見る。
だが「確かに容易でない。だからこそ国や自治体、企業や経済団体が総掛かりで国内代替を推し進め、海外流出を止めなければならない」と、日本総合研究所関西経済研究センターの廣瀬茂夫所長は主張する。
工場、事務所貸します 代替生産先を探します
西日本に縁もゆかりもないような中小の被災企業は、肩代わりや生産の補完を模索しようにも、どこの誰に依頼すればいいか、糸口すら見つからない場合もある。そうした被災企業の移転を促したり、短期的な代替生産の相手探しをしたりする産業支援策が相次いで動き出している。