この6月、永田町で、日本外交の道筋を考える超党派の議員連盟「超党派石橋湛山研究会」が立ち上がった。共同代表には岩屋毅元防衛相(自民党麻生派)、古川元久元国家戦略担当相(国民民主党)、篠原孝元農林水産副大臣(立憲民主党)の3人が就き、議連を切り盛りする幹事長には古川禎久前法務相(自民党茂木派)、事務局長に小山展弘衆議院議員(立憲民主党)がそれぞれ就任した。
今年3月に立憲民主党が立ち上げた「石橋湛山思想研究議員連盟」を発展的解消し、超党派に衣替えした。
今なぜ石橋湛山なのか。そこには、日本独自の外交を切り開こうとする国会議員らの模索がある。
岸田外交は2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、G7とりわけアメリカとの結束を最重視し、ロシア包囲網を形成してきた。ウクライナ戦争は東アジアにおける安全保障リスクすなわち「台湾有事」を想起させる契機となり、「クアッド」(QUAD=日米豪印)や「アイペフ」(IPEF=インド太平洋地域の新たな経済枠組み)、「チップ4」(Chip 4=日米韓台の半導体同盟)といったアメリカ主導の中国封じ込め策が着々と築かれている。
米中のどちらにも追随しない国々
しかし、世界はアメリカの戦略に歩調を合わせる国々ばかりではない。とりわけグローバルサウスの中には中国やロシアと緊張を高めるだけの政策に賛同しない国々が多い。G7においてもフランスのマクロン大統領は「ヨーロッパは米中のどちらにも追随するべきではない」との見解を示している。
アメリカはブリンケン国務長官が6月18日に訪中し、2日間にわたり外交トップの王毅政治局委員と会談したのに続き、習近平国家主席とも会談した。ブリンケン国務長官は19日の会見で「台湾の独立を支持しない」と発言し、冷え込んでいた米中関係の修復に向けたポーズを見せた。
対米追従でアメリカの覇権の一翼を担うばかりでは、かえって日本の将来を危うくしかねない。ウクライナにおける停戦の模索や、将来にわたって台湾有事を回避させるために日本に何ができるのか。こうしたことを考える時のヒントは石橋湛山にあるのではないか――これが石橋湛山研究会を立ち上げた国会議員たちの問題意識である。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら