「逆に言うと」を使いこなせない大学生が目立つ訳 やり方だけを教える「暗記教育」を脱するには

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生徒の好奇心を引き出し、積極的に授業に参加させるのに成功している事例を紹介しよう。

筆者は、神奈川県の自修館中等教育学校(中学高校一貫校)の探求学習の指導を担当しており、中学3年生の生徒と対話する運びとなった。面白い点は、課題は生徒自身が考え出したものである。それに答える形で、次の3点を語り合うことになっている。

・わかりやすい授業(数学教育):個人個人のレベルに応じた授業展開の必要性
・素数:無限に存在することの2つの証明、および未解決問題
・統計データ:人間の癖とベンフォードの法則

生徒諸君が考えた素朴な関心事というものを、従来はあまり大切にしていなかったのではないか、という筆者自身の反省の気持ちをもった次第である。ちなみに、当校では過去に生徒の数学に関する疑問を筆者に尋ねるために、数学の教員が生徒を連れて筆者の大学研究室を訪れたこともあるほど、生徒の疑問を大切にしている。

「誕生日当てクイズ」の参加する楽しさ

人数が多い授業では、一般的に冷めた反応を示す生徒が少なからずいるものだが、筆者の「誕生日当てクイズ」は生徒からの評判が良い。

これは、生まれた誕生日の「月」と「日」を使って簡単な計算をしてもらい、その1つの答えから「月」と「日」の2つの数字を当てるものである。ちなみに、「(日×10+月)×2+月」を尋ねるのであるが、要点はこの式を20で割った余りである。

盈進中学高等学校(広島県福山市)に昨年末に出前授業で訪れたときの、生徒諸君の本音の感想から、「ハイ、ハイ、ハイ」と多くの生徒が声を出して「参加」する楽しさが受けていたことを理解した。これは、とかく一方通行になりがちな大人数の授業において参考になるだろう(数学科教員対象の講演会も実施した)。

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