ワグネル「裏切り」で露呈したプーチン体制の弱点 プリゴジンのことは最後まで信頼していた?

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今年初めには、ロシア政府はプリゴジンの台頭を抑えるために何らかの措置を講じているように見えた。テレビのコメンテーターは放送でプリゴジンについて言及しないように指示され、プリゴジンは囚人をスカウトできなくなっていた。

しかし、プーチンはプリゴジンへの支持を迷っているようだった。5月には、クレムリンのウェブサイトに掲載された声明で、ウクライナの都市バクムトの占領に貢献したワグネル傭兵を祝福した。その数週間後には、7月1日までにロシア軍と傭兵契約を結ぶよう求める国防省の動きを支持したが、この要求はプリゴジンを激怒させた。

プリゴジンのことを「牽制役」として見ていた?

プリゴジンが無能で、腐敗しており、兵士の命に無関心であるとした国防省に対するプリゴジンのSNSでの攻撃をプーチンが最終的に止めなかったのには、それなりの理由があると多くの人が考えていた。一部のアナリストによれば、プーチンはプリゴジンを有用な人物、つまり、軍の指導者が過度に人気になる危険性を防ぐための牽制役と見ていた。

ロシアでは、「最も悲惨な戦争でさえ、非常に人気のある将軍を生み出す」ため、プーチンは政治的に軍を代表する「かなり弱く、妥協的な人物を必要としている」と、ロシア情報機関の専門家で欧州政策分析センター上級研究員のアンドレイ・ソルダトフは言う。「彼の計画はプリゴジンの口を封じることだったが、計算違いだった」

プーチンが24日に警告した「無政府状態と餓死」につながりかねない反乱の鎮圧に奔走する今、プリゴジンはロシア大統領の自作自演として迫っている。

プリゴジンは「大統領の寵愛を受ける以外、独立した権力基盤を持たなかった」とロシア軍と安全保障サービスの専門家であるマーク・ガレオッティは言う。「どう転んでも、プーチンの信頼性と正統性を損なうことになる」。

(執筆:Anton Troianovskik記者)

(C)2023 The New York Times 

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