【産業天気図・ソフト/サービス】不採算案件は峠越すも、もはや成長は見込めず

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2004年度は不採算案件の膨張に苦しんだソフト・サービス業界だが、大手各社の今期業績は回復傾向にある。ただ、その中身を見ると、決して事業環境が改善しているとはいえない。セキュリティ関連で案件数こそ増えているものの、相変わらず価格低下は苛烈。業績が上向いているというより、昨年度が悪過ぎた、というのが実態である。
 個別企業を見ると、富士通、日立製作所は、前期に計上した数百億円レベルの不採算案件が消え、業績が急回復。NECのソフト・サービス事業も前期に続き堅調に推移している。NTTデータも減価償却費減が寄与し、増益に転じている。その他の企業では、野村総合研究所の好調が目立つ。イトーヨーカ堂、野村証券の2大顧客に加え、証券業向け案件が想定以上に盛り上がっている。会社予想の通期営業利益320億円は、上振れが確実だ。
 とはいえ、今後の動向に目を移すと、明るい材料は乏しい。そもそも、この業界は労働集約的で、技術力で差が付きにくく、「価格」以外に差別化の要素がない。また、内需依存度が極めて高いため、地理的な拡大は見込み薄だ。組み込みソフトウエア、ITコンサルティングなど、成長が見込める領域に業容を広げることぐらいしか、売り上げ拡大の手段は見当たらない。止めどない価格低下に、中国、インドでのオフショア開発拡大で対抗する、というのが今後のトレンドとなるはずだ。空模様としては、当面、『曇り』が続こう。
【佐々木紀彦記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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