離職率を激減させる2つのエモーショナルな方法 感動を共有することでチームワークを高める
ナラティブアプローチは楽しく自己開示でき、価値観の共有もできるという2つのメリットがあります。大切にしているものには、その人の価値観が如実に表れます。たとえば、朝礼で3分間スピーチをすることになったら、何を話せばいいのかわからなくて悩むでしょう。何もないところで「はい、しゃべりなさい」と言われても、なかなかしゃべれないものです。ところが、物が介在すると格段に話しやすくなります。
なかには、「こんなに話すつもりはなかったのに」と自分で驚いているぐらいに、語り出す方もいます。自分の心の奥底を自然と伝えたくなるのが、ナラティブアプローチの威力です。
このアプローチは、どんな研修でも取り入れられます。幹部候補生向けの研修で取り入れたときは、二代目の社長として周りから期待されているのが、どれだけプレッシャーになっているのかを打ち明けた方がいました。皆さんのチームで実践するときは、リーダーの皆さんも「素の自分」をさらけ出せるような宝物をみんなに見せてほしいと思います。
感動がつながりを生む「家族の手紙」
2つ目の「家族の手紙」は、私が考案した中で、最もエモーショナルなセッションです。このセッションでは、新入社員が入社したら、親御さんに手紙を書いてもらうところから始まります。
これは新入社員には内緒で、人事部から親御さんに頼んでいます。そして、研修のときに新入社員に教える立場のトレーナーに、その手紙を読んでもらいます……と、プロセスは単純ですが、皆さんが想像している以上のインパクトのあるセッションです。
最初、このセッションを始めたときは、親御さんには普通に「これから社会人になるお子さんに対して、何かメッセージをお願いします」と頼んでいました。すると、一言二言「先輩方に迷惑をかけないように頑張りなさい」といった当たり障りのないメッセージや、俳句のようなメッセージが届きました。
「これだと新人に渡しても響かないな」と思い、情緒的なお願いをすることにしました。「お子様が巣立って社会人になって、喜びとともに少しばかりの淋しさもあるかと思います。お子様の門出にあたって私たちも一所懸命応援します。つきましては、ぜひお父様お母様からのお言葉をいただけないでしょうか」のようなメッセージを人事部の担当の名前を出して、手紙で送ってもらいました。すると、親御さんから心がこもった手紙が届いたのです。
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