マリオRPG、リメイク発表で「大熱狂」の歴史的事情 2023年11月発売、原作は任天堂とスクウェアが共同開発

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ラブデリックの作品には、ブラックジョークなど際どいところを攻めたセリフなどが多い。

実は『スーパーマリオRPG』にもそれを彷彿とさせる要素がところどころあり、『新世紀エヴァンゲリオン』のパロディや、とてもここには書けない(かつリメイクでも消されるであろう)テキストも存在していた。

さらに、任天堂とスクウェアの関係も『スーパーマリオRPG』以降で大きく変わる。それまで「ファイナルファンタジー」シリーズはスーパーファミコンで発売されていたものの、『ファイナルファンタジーVII』以降、プレイステーションだけで出すようになっていった。それだけならともかく、スクウェアは任天堂から取引拒否をされるようになった。

取引拒否に至った経緯についてはさまざまな理由が考えられているものの、いずれにせよこれ以降、しばらくは任天堂のゲーム機でスクウェアのゲームが出なくなったのは事実である。取引再開を果たしたのは2002年ごろで、それまで両者の関係は凍りついていたのだ。

マリオとRPGの歴史において重要な作品

『スーパーマリオRPG』はその直前、任天堂とスクウェアがタッグを組んで作ったゲームだったわけだ。当時のプレイヤーからすれば、両者が決裂する前の奇跡的なタイトルといえるうえ、任天堂のキャラクターと遊びやすさ、スクウェアのRPGを作る技術が見事に合致した一作なのである。

多くの人の記憶に残る『スーパーマリオRPG』(画像は任天堂公式サイトより)

単純にゲーム内容が多くの人の記憶に残っていて、さらにマリオとRPGの歴史において重要な作品が蘇るのだから、ファンが喜ばないわけがないだろう。『スーパーマリオRPG』がNintendo Switchで蘇ることの背景には、こういった複雑な事情も隠れているのである。

渡邉 卓也 ゲームライター

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わたなべ たくや / Takuya Watanabe

いわゆるテレビゲームを専門にコラム・評論などの記事を書くライター。大学卒業後はサラリーマンになったが、満足にゲームを遊べない環境にいらだちを覚えて転身。さまざまなメディアにゲーム関連の記事を執筆。駄作に対して厳しく書いてしまうことでも知られる。

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