社外取締役が自ら語る「報酬と実効性」のバランス モニタリング機能には限界、報酬はもらいすぎ

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――報酬金額を教えてください。

佐々木:年間約1000万円です。

――失礼ながら、月2~3時間で年収1000万円というと、楽な仕事ですね。

佐々木:そうですね。X社からお声がかかったとき、「決してご負担になることはありませんので」と言われました。負担になるようなら、お断りしています。

議論は活発だが、実効性はなし

――取締役会の議論について伺います。どういう流れで進むのでしょうか。

佐々木:まず、会社側から議案について説明があり、全員で議論し、必要なら採決します。そのあとフリーディスカッションの時間があります。

――議論は活発ですか。

佐々木:ええ、かなり活発ですよ。フリーディスカッションでは、いろんな意見が出てきて、時間オーバーになることもあります。

――佐々木さんから議題を提案することはあるのでしょうか。

佐々木:以前はフリーディスカッションのときに経営の時事トピックなどを持ち出したりしていましたが、やめました。

――どうしてやめたんですか。

佐々木:2年前、私が研究開発について他社事例を紹介しました。口頭で5分程度です。すると、翌月の取締役会で、前回のご指摘についてと50ページ超のたいそうなレポートが提出されました。企画部門が何日もかけて作ったんでしょうね。私の一言でX社の従業員が大残業をするというのは申し訳ないので、やめました。

――社外取締役には、モニタリング(経営監視)機能とマネジメント(経営意思決定へのアドバイス)機能の2つが期待されています。X社では、社外取締役2名で2つの機能を分担しているのでしょうか。

佐々木:明確には分担していません。ただ、取締役会では、私がマネジメント機能、弁護士のもう1人がモニタリング機能を中心に発言しており、なんとなく分担しています。

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