「推しの魅力を伝えたい」オタクに一番大切なこと 大事なのは「自分だけの感情」をいかに表現するか

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「クリシェ」という言葉を聞いたことはありますか?

ある言葉がいろいろな場面で乱用されたことで、その言葉の本当の意味や新しさが失われてしまったことを指す用語です。ありきたりなシチュエーション。ありきたりな台詞。ありきたりな言葉。それらをフランス語で「クリシェ」と呼びます。

日本語には、残念ながらクリシェにあたる用語はありません。あえて挙げるなら「常套句」でしょうか? もしくは、「ありきたり」という言葉が一番近いかもしれません。このクリシェは、感想を話したり文章を書いたりするにあたって、最も警戒すべき敵です。

クリシェこそが、あなたの感想を奪うんです!

どういうことか具体的に説明しましょう。

「泣ける」「考えさせられる」は要注意

たとえばあなたの推したい作品が、とある漫画だと仮定します。あなたは、その漫画の素晴らしさをみんなにどうにかして伝えたい。だからSNSにその漫画の魅力を書くことにしました。

「この漫画、泣けてやばい。すごく考えさせられた」

……これじゃ、この漫画の魅力が伝わらない! でも、語彙力がないから漫画の感想なんて書けないよ〜。ああ〜〜〜……。こんなふうに、しゃがみこんでしまう人もいるのではないでしょうか。私も昔はそうでした。

この感想の書き方、なにが悪いのかわかりますか?

悪いのは、あなたではありません。悪いのは、

① 「泣ける」
② 「やばい」
③ 「考えさせられた」

この3つの言葉です。

じつはこの3つの言葉って、「感想界のクリシェ=ありきたりな表現」なんです。

とくに「泣ける」と「考えさせられる」は、かなり要注意の言葉です。この2つの言葉を使うと、そこで思考停止になってしまいます。

たとえば映画の宣伝で「全米が号泣」という言葉が使われすぎて、「全米は号泣してないぞ」とツッコミを入れる人をたまに見かけます。あれは、全米の人が実際に号泣したかどうかという事実が問題ではなく、あらゆる映画の宣伝文句に「号泣」とか「泣けた」という言葉を多用していることを揶揄しているんですよね。つまり、クリシェに対する揶揄なのです。

クリシェは、あなたの言葉を奪う敵だと思ってください。

よく見る、それらしい言葉。その言葉を使うだけで、なんだか文章自体が、それっぽくなる。感想っぽくなる。だから、つい使ってしまう。

たとえば「考えさせられる」なんて、使うだけでなんだか「かっこいい感想っぽくなる」言葉だと思いませんか?

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