「なぜ推しが好きか」の言語化が超有意義な理由 「好き」は揺らぐ、しかし感情は自分の中に残る

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感情がぶわっと動く。なんだかすごいものを見た――なんだこれ。

目の前で起こったことに対する自分の感情を言語化できないほどに、未知の事態である。そういう状況をもって、私たちは本当の意味で感動する。

だとすれば、自分の感情をすぐさま言語化できないことを恥ずかしく思う必要はないんですよ。むしろ、言語化できないほど感情を動かされるものに出会えたことを嬉しく思いましょう。そんな出会い、人生でなかなかあるものじゃない。

感情を大きく動かしてくれるって、それがたとえマイナスでもプラスでも、人生におけるすごく素敵なギフトです。

なんのために感動を言語化するの?

しかし「じゃあ感動を呼びさましてくれた推しに感謝! 感動は感動のままに、言語化せずに終わりましょう!」だと……SNSにもブログにもファンレターにもなにも書けずに終わってしまいます。それは困りますよね。

いや、もちろん本当に感動した経験って、自分のなかに留めておいてもいいんですよ。なにも無理に他人へ伝えなくても、自分の記憶として脳内に置いておくのも一手です。

しかし私は、「たとえ自分しか見ない日記やメモのなかだったとしても、自分の言葉で感動を言語化して、書き記しておくのはいいことなんじゃないか」派です。

なぜなら、自分の言葉で、自分の好きなものを語る――それによって、自分が自分に対して信頼できる「好き」をつくることができるから。

自分の好きなものや人を語ることは、結果的に自分を語ることでもあります。そもそも、好きなものや素敵だなと思った人って、すごく大きな影響を自分に与えてくれますよね。もちろん嫌な経験や辛い出来事も自分を形づくるものではありますが、やっぱり好きなことの影響は大きい。

だとすると、自分を構成するうえで大きなパーセンテージを占める好きなものについて言語化することは、自分を言語化することでもあります。

そして、なにかを好きでいる限り、その「好き」が揺らぐ日はぜったいにくる。私はそう思っているのです。

次ページなにが起きても絶対に変わらず好き、なんてない
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