名古屋の老舗百貨店・丸栄が社長交代、親会社・興和との連携強化が再建のカギに
4月14日、名古屋市の老舗百貨店である丸栄が社長交代を発表した。2008年5月から社長を務めてきた江崎美治洋社長(61)は5月26日付けで代表取締役会長に退き、親会社・興和出身の代表取締役専務、京極修二専務(63)が社長に就く。
社長交代の理由として、江崎社長は「一連の構造改革で人員削減を行い、大きな最終損失を計上したことの経営責任があること、親会社との関係強化を図る上で興和出身の京極氏が適任であること」などを理由に挙げた。
11年2月期に52億円という巨額の最終赤字を計上しながらも、江崎社長は代表権を持った会長に就任する予定。そのため、経営責任を取ったようには見えにくい。この点について江崎社長は「経営者の責任だけであれば会社を去る考え方もあるだろう。しかし、私は経営者である前に1人の人間。昨年の希望退職で合計160人、名古屋だけで120人が会社を去った。このことは非常に重い。120人のうち100人が再就職を希望したが、現在までに6割しか決まっていない。最後の1人までが再就職できるようにするのが私の責任だし、今残っている社員にも責任がある。一歩引いた形で社長を支えていきたい」と説明した。
社長に就任予定の京極専務は「今回、非常に厳しい環境の中で重責を担うことになった。皆さんの智恵を借りて全力投球していく。地域に対して丸栄はどのような貢献をできるのか、ということを追求していく」と述べるにとどめ、具体的な収益拡大策や興和との関係強化策については触れなかった。
丸栄は名古屋において4M(松坂屋、三越、名鉄百貨店、丸栄)の一角と言われる名門。しかし業績悪化が長引き、10年は豊橋丸栄を外部ファンドへ売却。現在は栄本店を残すのみとなった。本店も11年2月期は対前年度比で客数7.2%減、客単価3%減と大幅な減収を記録。単体業績は19年連続の減収となった。親会社の興和の支援による抜本的な業態改革を進められるかどうかが、今後の復活のカギを握る。
(山田 俊浩=東洋経済オンライン)
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