支持率急落、岸田首相「解散ニヤリ顔」に広がる不信 「解散権をもてあそんでいる」と高まる批判
空回りに終わった解散騒動がもたらしたのは、世論調査の内閣支持率急落だった。毎日新聞の調査(6月17、18日)では内閣支持率が前月の45%から33%に急落。不支持は46%から58%に急増した。同時期の朝日新聞の調査でも、支持率は42%で、前月の46%から低下。不支持は42%から46%に増え、支持を上回った。
支持率の急落は、自民党に衝撃を与えている。「マイナンバーカードをめぐるトラブルが影響している」という見方に加えて、「解散権をもてあそんだツケだ」という反応も出ている。
岸田氏は、安倍元首相や菅前首相のような「強権体質」とは違う「聞く力」をアピールしてきた。解散権をテコにして政局ににらみを利かすという手法とは無縁ともみられてきた。
それだけに、解散をめぐる発言での「ニヤリ顔」は岸田氏のイメージを崩し、不信感を募らせていることは確かだ。自民党内からは「支持率が3割台では解散・総選挙は難しい」という意見が出始めた。
有権者の不信を増幅する可能性も
岸田首相は今国会での解散を見送ったのを受けて、夏には自民党役員人事・内閣改造を断行、秋の臨時国会で景気対策のための大型補正予算を成立させたうえで衆院の解散・総選挙のタイミングをうかがう。
その段階では、防衛費増額に必要な財源の内容も固まり、3兆円半ばとしている少子化対策の財源の柱も明示したい方針だ。年内の解散・総選挙を勝ち抜き、来年9月の自民党総裁選で再選を果たし、長期政権につなげるというのが基本戦略だ。
しかし、今回の解散見送りの中で見えた岸田氏の「資質」は、有権者の不信を増幅する可能性がある。解散という大権を政局運営のテコとして使おうとした岸田氏だが、国民の信頼あってこその大権であるという「重み」をかみしめるべきだ。
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