【絶景夏写真】2023年「必見花火大会」を大公開! コロナ禍を経て、花火大会はどう変化したのか

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行政が主催する花火大会では、実施にあたり地元の花火業者に依頼することが多い。しかし、業者の人手不足が深刻な今年、それを1社で担うことが難しく、数社合同で請け負う花火大会が増えるだろう。しかしそれは悪いことではない。さまざまな業者が入り交じることで花火の種類にバリエーションが出て、見る人を楽しませるはずだ。

2023年夏、見ておきたい花火大会は

では、2023年に見どころとなる花火大会はどれだろうか。

まだ開催を発表していないものもあるが、ポイントは「地方の花火大会」だ。花火の打ち上げには、各都道府県で定められる「火薬類取締法」に基づく申請を行う必要があり、さらに消防へ「火災予防条例」に基づく届け出をしなくてはならない。

火薬類取締法は都道府県によって内容が違う。打ち上げの安全距離や花火玉の大きさ、許可される花火の種類などが決められており、一般的には建物や人が多い都心ほど厳しく、それらが少ない地方のほうが許される範囲が広い傾向にある。つまり、地方のほうが見られる花火の種類が多くなるということだ。

東京都でいうと、江戸時代から続く日本最古の花火大会と言われる「隅田川花火大会」は、打ち上げ数は全国でも有数の2万発だが、大都心のため玉の大きさや花火の種類は限られている。一方で、「いたばし花火大会」は打ち上げ数は隅田川に及ばないとはいえ、打ち上げ場所となる荒川の川幅が大きいため、都心では比較的大きな玉を使用できる花火大会といえるだろう。

隅田川花火大会
東京都墨田区で開催される隅田川花火大会(筆者撮影)

また、花火の規模(花火の種類や打ち上げ数の多さ、玉の大きさなど)は、一般的には「火薬代」によって左右される。身も蓋もない話だが、予算があればあるほど、豪華な花火大会になるのだ。

それらの観点から、筆者が今年注目する花火大会は、8月19日に山形県鶴岡市で行われる「赤川花火記念大会」だ。コロナ禍で延期されていた第30回を記念する花火大会で、同大会での火薬代の予算は過去最高とも聞いている。全国の有名花火大会に匹敵する豪勢さと美しさを見せるはずだ。

赤川花火記念大会
赤川花火記念大会
スケールの大きな美しさを見せる山形県鶴岡市の赤川花火記念大会(筆者撮影)

とはいえ、都心のビル越しに眺める非日常感あふれる花火も、地方の豪華でド迫力な花火も、どれも記憶に残る素晴らしいものとなるだろう。待ち望んだ夏の風物詩を、今年は目一杯楽しんでいただきたい。

冴木 一馬 ハナビスト

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さえき かずま

山形県鶴岡市出身。花火師の資格をもつハナビスト。報道カメラマンを経て世界各地の花火を記録し、歴史や文化の研究を重ねている。スチール写真に関しては記録を重視し、一貫して多重露光を行わず、ワンシャッターとリアリティにこだわり花火を表現。2002年には1000大会の記録を達成(現在は1200大会を超えた)。世界各地の花火をはじめ、あらゆる花火の写真があり解説を行う。おもな著書に『知って楽しい花火のえほん』(あすなろ書房)、『花火ハンドブック』(文一総合出版)、『花火の本―線香花火から、仕掛花火のスターマインまで―』(淡交社)、『日本列島花火紀行』(山と渓谷社)、『四季の花火を見に行こう』(講談社)など。
 

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