人気YouTuber「黒塗りメイク」動画が超悪質なワケ テレビからは消えたが、SNSでよみがえった

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そして、ブラックフェイスはSNSに追いやられた。そこはなんでもありの世界だ。前述の通り、ネットで調べればブラックフェイスの歴史はすぐにわかるというのに、「雨来ズ。」は黒塗りメイクをすることをやめなかった。そして、それを批判する人たちを「逆差別」と非難した。

被害者を加害者だと非難するのは、アメリカの保守派が何十年も使ってきたおなじみの手口であり、修辞的な手口である。YouTubeには、被害に遭った人々を刺激したり、いらだたせたりするために、意図的に作られたコンテンツがあふれている。

差別への意識が高い人に反発する潮流

コンテンツ制作者の中には、それが事実上ビジネスモデルになっている人もいる。被害者をからかったり、中傷したりすることが利益になるのだ。今は「wokeness(ウォークネス=社会的不公正や人種、性差別などに対する意識が高い人)」が厳しい批判にさらされる時だと言える。「キャンセルカルチャー」に反抗し、非難することは、国際的な娯楽になっている。

それに、アフリカ系の人々やさまざまな人種的ルーツを持つ日本人(動画に登場するハーフのような)は、日本では格好の標的であり、低く実った果実であり、まったく無力な少数派である。だから、反撃の危険はない。仮に否定的な反応があったとしても、それは彼らのチャンネルにもっと多くの注目と視聴者をもたらすだけだ。

私も彼らの作戦にまんまとはまっているだけかもしれないので、このことを書くのはためらわれる。しかし、私はこの可能性と日本におけるブラックフェイスのゾンビ的性質を天秤にかけ、このエピソードを、墓場から抜け出そうとする亡霊の姿と見なした。日本人も外国人も同じように、これまでの進歩を後退させるような醜悪なものの復活に警戒することが、私たち全員の責任だと思うのだ。

そして、これらのYouTuberたちがそのような醜悪な行為の片棒を担ぐことがないことを一番に願っている。

バイエ・マクニール 作家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Baye McNeil

ブルックリン出身の作家・コラムニスト・講演者。2004年に来日し、「The Japan Times」 などで執筆しながら、異文化の交差点で生きる経験や、人種・アイデンティティ・多様性について鋭い視点で発信している。代表作 『Hi! My Name is Loco and I am a Racist』 に続き、最新作『Words by Baye, Art by Miki』 では、日本人の妻と築いた人生をユーモアと洞察に満ちた筆致で綴る。日本社会の枠にとらわれない視点が話題を呼び、講演やワークショップも多数開催。ジャズ、映画、ラーメンをこよなく愛する。

ウェブサイト:Baye McNeil/life in Japan

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事