人気YouTuber「黒塗りメイク」動画が超悪質なワケ テレビからは消えたが、SNSでよみがえった

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ブラックフェイスが定期的に登場するとき、私の一部は、”犯人”が黒人に対して意識的な敵意を抱いていないことを感じている。自分たちがやっている、嫌悪感を抱かせるような行いの本質にまったく気付いていないのだ。なぜなら、彼らは日本人以外の文化、歴史、芸術、容姿、そして肌の色をからかうことが正当なエンターテインメントであり、善良な遊びであるという環境で生まれ育ったからだ。

彼らにとって、ブラックフェイスは問題ではない。ただのコスプレであり、無害な「ものまね」である。ゴリラの格好や異性の格好をして笑うのと何ら変わらないと彼らは思っている。さらに、この小さく、均質で、孤立した島において、何が面白く、何が不快かを決めるのは日本人だけであり、ハーフでもなく、外国人でもないと、心の底から信じている。

それはわかる。

「ブラックフェイス」の歴史を知らないのか

個人的な憶測に過ぎないが、この動画を制作したグループは、攻撃的であろうとし、注目と論争を求めているように見えてしまう。YouTube育ちの彼らであれば、黒塗りの方法を簡単に調べられたのと同じように、日本におけるブラックフェイスの歴史も簡単に調べることができるからだ。日本語でも充分すぎる情報が手に入る。

彼らはカルピスの黒人のロゴが抗議によって廃棄されたことや、フジテレビが、嘆願書とソーシャルメディア上の反響に応えて、ミュージックフェアでのラッツ&スターとももいろクローバーZの黒塗りパフォーマンスを中止させたことを本当に知らないのだろうか。さらに直近では、2017年の大晦日に起こったことも(「雨来ズ。」にコメントを求めたが、残念ながら現時点で返事はない)。

なぜこれを引き合いに出したかというと、ブラックフェイスが日本の放送局のテレビに登場したのは、その時が最後だったからだ。

それは、ダウンタウンの浜田雅功氏がエディー・マーフィー氏の真似をするためにブラックフェイスを行った夜だった。浜田氏の誤算からしばらく、ブラックフェイスを披露した『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』と、日本テレビは、いわゆるリベラルメディアからの批判の的となった。

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