石垣島が「陸上自衛隊」を受け入れた本当の理由 辺境から南西防衛と台湾有事を考える(上)

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漂着ペットボトルや他のゴミを埋め立てる石垣市の一般廃棄物最終処分場には、毎年5000立法メートルものゴミが埋め立てられ、あやうく2022年度内に満杯になるところだった。それを回避するため、石垣市は2022年に処分場のかさ上げと廃プラスチックゴミの掘り起こしを同時並行で行い、老朽化していたゴミ焼却施設の基幹的設備改修も実施することにした。改修して、プラスチックを他のゴミと一緒に燃やせるようにする計画だ。

処分場をかさ上げする工事費は約2億6500万円、掘り起こしの事業費は約4億5000万円(年間約3000万円)、設計費約3000万円を足した総事業費は約7億5000万円と見込まれている。また、ゴミ焼却施設の改修費は約22億円とされる。

ゴミ処理事業を可能にした「補助金」

石垣市の大規模なゴミ処理事業を可能にしたのが、石垣島への陸上自衛隊配備に伴う防衛省の補助事業だ。環境省事業が補助率2分の1なのに対し、防衛省による民生安定施設整備事業補助金は補助率が3分の2に上がる。また、処分場のかさ上げは、環境省の基準では施設の維持管理という位置づけになるため補助対象にならないが、防衛省の民生安定施設整備事業補助金なら約2億円の補助を受けられる。

石垣市は、ゴミ処理事業に「防衛予算を活用することで、約11億円を市民生活向上のための新たな事業に充てられる」という理屈で、2021年9月に防衛省への補助金申請を前提とした一般会計補正予算を市議会で成立させた。

平得大俣地区への陸上自衛隊配備をめぐり、その賛否を問う住民投票の実施を求める市内有権者約4割弱の署名を集めた若者たちが、市に対し住民投票の実施の義務付けを求めた訴訟で敗訴した翌月であり、駐屯地の開設工事が進んでいる最中だった。

石垣島に陸上自衛隊が配備されることになったのは、約1200キロにわたる「自衛隊配備の空白地域」であった南西諸島の防衛を強化する、「南西防衛」の一環だ。民主党政権が2010年、中国の軍事的台頭と海上での領土拡張の動きへの対応として掲げた。2016年3月の与那国島への陸上自衛隊員数約160人の配備に続き、2019年3月には奄美大島(同約610人)、宮古島(約700人)、そして2023年3月には石垣島に約570人が配備される。

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