あなたの住んでるマンションの知られざる"寿命" 「長寿命化」への取り組みがグッと進む背景事情

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国交省リーフレット:『マンションの大規模修繕をすると固定資産税が減税されます!』では、建物の老朽化や劣化を改善し、建物の寿命を延ばすために行われる「長寿命化工事」とは、具体的にはどのような内容を指すのだろうか。

例えば劣化した外壁や屋根、バルコニー、鉄部、屋上防水などの部分的な補修もしくは撤去、新素材で再生する工事も長寿命化工事に該当する。竣工時より進化した断熱材の設置により、省エネ効果をもたらす工事など、設備機能や性能水準の向上が図れる施工を指す。

施工により維持管理費用は抑えられ、安全で快適な住環境が確保できること、さらには「将来への投資」としての意味合いも持つのが長寿命化工事の特徴となる。通常の大規模修繕工事と比較するとより広範で、将来にわたって長く利用できる目的をメインとした工事と捉えることができるだろう。

長期修繕計画は7年スパンで見直すべき

ひるがえって自分たちの居住するマンションを見直すと、管理組合がこれまで作成してきた長期修繕計画はマンションの寿命を考慮した計画になっているのだろうかと疑問に思う方もいるかもしれない。例えば税制の活用を含めた「長寿命化工事」を視野に入れるとすれば、これまでの長期修繕計画の見直しが必要となるのだろうか。

2022年4月に始まったマンションの管理計画認定制度にあたって、国交省は『長期修繕計画作成ガイドライン』の内容を一部改訂している。長期修繕計画期間を30年以上に延長し、長期修繕計画の見直しの周期についておおよそ5年ごとに調査を実施すること、その後1年から2年程度の間に見直すことを明記したのである。

準備期間を含め、トータルで7年程度のスパンで計画の見直しを推奨している。その理由については、「長期修繕計画に含まれる不確定な事項」があるためだとして、以下4つのポイントに言及している。

(筆者作成)

例えば①の「建物及び設備の劣化の状況」については、マンションごとにかなりの差が生まれる部分だろう。そもそもの仕上げも違っている場合も少なくない。

また②の「社会的環境及び生活様式の変化」に関しては、マンションが計画、分譲された時期が古ければ、この社会的な環境生活様式の変化に対応させるために、大がかりな工事・改修が必要になると予想される。こちらも、設計時の内容による部分が大きく、マンション個々の事情は異なってくるだろう。また年々建築工法や材料は進化を続けている。

高耐久性の工法や材料を使うことによって周期や単価が変動し、修繕の周期も大きく変わってくるというニュアンスが③の「新たな材料、工法等の開発及びそれによる修繕周期、単価等の変動」部分だ。技術的な革新の部分でも見直しが必要になってくる。

④「修繕積立金の運用益、借入金の金利、物価、工事費価格、消費税率等の変動」についても、マンションそれぞれ固有の状況変化があるだろう。こういったものも含め、7年程度ごとに見直しが必要となる。

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