エナジードリンクにも添加「タウリン」意外な効果 マウスやサルの実験では寿命が延びた

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ブラジルで行われた小規模な臨床試験では、少量のタウリン摂取を4カ月続けたところ、高齢女性に抗酸化作用が認められ、有害な影響は出ないことがわかった。とはいえ、摂取量を変えた場合の効果を評価するには、より大規模で長期間の研究が必要だと研究者たちは言う。

人間を対象にしたタウリン投与の研究は低用量で行うのが一般的で、通常は1日あたり約1.5グラムだ。これに対し、新たな研究でマウスとサルに投与された量は、人間に換算すると1日約3~6グラムに相当する。ヨーロッパの規制当局の基準では安全とみなされる量であっても、多いことに変わりはない。

「つまり臨床試験が必要だということだ」と、今回の研究を主導したコロンビア大学アービング医療センターの長寿研究者、ビジェイ・ヤダフは言う。

血液中のタウリン量は年齢とともに低下

タウリンはドイツの科学者によって雄牛の胆汁から初めて抽出され、ラテン語で雄牛を意味する「タウルス」という語にちなんで1820年代にそのように名付けられた。

だが、ヤダフがタウリンについて知ったのは約10年前のこと。ビタミン不足の母親から生まれた若いマウスの骨の発育を促すのにタウリンが役立つことを発見したときのことだ。

人間を対象にした研究によって、タウリン不足と心臓の健康悪化、認知機能低下、筋肉の機能低下との結びつきは当時から示されていた。日本の沖縄に住む人々が長生きなのはタウリンのおかげだということを示唆する研究も存在した。

ただ、タウリン不足が老化を引き起こすのか、それとも単に老化の影響でタウリンが減るのかは不明なままだった。

ヤダフは、ニューデリーにある国立免疫学研究所の研究者たちとともに、まず人間の血中タウリン量を測定し、年齢が上がるにつれて量が減ることを発見した。60歳のタウリン量は、小さい子どものおよそ3分の1にまで減っていた。

ヤダフの研究チームは次に、高用量のタウリンサプリメントを中年のマウスとアカゲザルに投与し、サプリメントを投与しなかった動物と健康状態を比較した。6カ月投与しただけでアカゲザルには骨密度、糖代謝、免疫機能の改善がみられ、マウスにはこれらに加えてさらなるプラスの効果が確認された。

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