スシロー、賠償請求も「非常識少年」また出る必然 炎上の専門家「想像力のない人にSNS時代は酷」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「教訓の伝承」というと、世代間でなされるようなイメージがあるが、こと炎上においては、時代を共有する同世代間であっても、うまくなされていない現状がある。それは、それぞれの事案を「コンテンツとして消費」してしまい、「ケーススタディとして活用」できていないからだろう。

数年も経てば「SNS空間の住人」は入れ替わる

話をスシローに戻そう。

繰り返すが、筆者としてはスシローの賠償請求は、法外な額だとは感じていない。だが、賠償請求による抑止力についても、残念ながら本質的な解決策にはならないと考えている。

一時的に迷惑行為は消えるかもしれないが、数年も経てば「SNS空間の住人」は入れ替わる。単に「調味料のボトルをなめたら、数千万円も請求されちゃうんだ!」と印象づけたところで、「なぜダメなのか」が血肉になっていない人々がいる限り、根っこにあるものも変わらないのだ。

だからこそ、あらゆる角度から「ペロペロ少年は、なにが問題だったのか」を見つめ直して、ネットリテラシーの教材として生かしていくことが大事だと考える。そうしないと、似たような過ちが繰り返されてしまうだろう。

そして、これはスシローをはじめとする外食企業ではなく、それ以前に、各家庭や学校が、責任を引き受けていくべきもののはずだ。

また、こうした教材は、時代に応じて、高頻度でアップデートされなければならない。

昨今、ChatGPTなどのAI(人工知能)チャットボットの成長が盛んに論じられているが、ネットの炎上もまた、その「賞味期限」は、急速に早くなっている。スシローはまだしも、USJの件などは、テレビでも報じられていたものの、もはや「そんなのあったね」と思い出す程度ではないだろうか。どれだけ熱烈にたたいても、すぐに忘れて、次なるインパクトある事案に引き寄せられる。ネットカルチャーには、そうした側面がある。

数千万円級の賠償請求によって、外食業界には平穏が訪れるかもしれない。しかし、このままでは、場所を変えるだけで、「炎上3要素」を備えた迷惑行為が起こりかねない。「衛生面に問題なければOK」と、悪知恵を働かせる輩もいる……などと考えると、残念ながら、またすぐに同じ構図の炎上案件が起きてしまうだろう。

城戸 譲 ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きど・ゆずる / Yuzuru Kido

1988年、東京都杉並区生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、ジェイ・キャストへ新卒入社。地域情報サイト「Jタウンネット」編集長、総合ニュースサイト「J-CASTニュース」副編集長などを経て、2022年秋に独立。現在は東洋経済オンラインのほか、ねとらぼ、ダイヤモンド・オンライン等でコラム、取材記事を執筆。炎上ウォッチャーとして「週刊プレイボーイ」や「週刊SPA!」でコメント。その他、ABEMA「ABEMA Prime」「ABEMA的ニュースショー」などネット番組、TOKYO FM/JFN「ONE MORNING」水曜レギュラー(2019.5-2020.3)、bayfm「POWER BAY MORNING」などラジオ番組にも出演。政治経済からエンタメ、炎上ネタまで、幅広くネットウォッチしている。
X(旧ツイッター):@zurukid
公式サイト:https://zuru.org/

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事