スシロー、賠償請求も「非常識少年」また出る必然 炎上の専門家「想像力のない人にSNS時代は酷」
「教訓の伝承」というと、世代間でなされるようなイメージがあるが、こと炎上においては、時代を共有する同世代間であっても、うまくなされていない現状がある。それは、それぞれの事案を「コンテンツとして消費」してしまい、「ケーススタディとして活用」できていないからだろう。
数年も経てば「SNS空間の住人」は入れ替わる
話をスシローに戻そう。
繰り返すが、筆者としてはスシローの賠償請求は、法外な額だとは感じていない。だが、賠償請求による抑止力についても、残念ながら本質的な解決策にはならないと考えている。
一時的に迷惑行為は消えるかもしれないが、数年も経てば「SNS空間の住人」は入れ替わる。単に「調味料のボトルをなめたら、数千万円も請求されちゃうんだ!」と印象づけたところで、「なぜダメなのか」が血肉になっていない人々がいる限り、根っこにあるものも変わらないのだ。
だからこそ、あらゆる角度から「ペロペロ少年は、なにが問題だったのか」を見つめ直して、ネットリテラシーの教材として生かしていくことが大事だと考える。そうしないと、似たような過ちが繰り返されてしまうだろう。
そして、これはスシローをはじめとする外食企業ではなく、それ以前に、各家庭や学校が、責任を引き受けていくべきもののはずだ。
また、こうした教材は、時代に応じて、高頻度でアップデートされなければならない。
昨今、ChatGPTなどのAI(人工知能)チャットボットの成長が盛んに論じられているが、ネットの炎上もまた、その「賞味期限」は、急速に早くなっている。スシローはまだしも、USJの件などは、テレビでも報じられていたものの、もはや「そんなのあったね」と思い出す程度ではないだろうか。どれだけ熱烈にたたいても、すぐに忘れて、次なるインパクトある事案に引き寄せられる。ネットカルチャーには、そうした側面がある。
数千万円級の賠償請求によって、外食業界には平穏が訪れるかもしれない。しかし、このままでは、場所を変えるだけで、「炎上3要素」を備えた迷惑行為が起こりかねない。「衛生面に問題なければOK」と、悪知恵を働かせる輩もいる……などと考えると、残念ながら、またすぐに同じ構図の炎上案件が起きてしまうだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら