中国が主導権を握っている「戦略物資」の地政学 「クリティカルミネラル」確保に各国が動く事情
・リチウム
電気をためたり、必要なときに電気機器などに電気を供給したりできる蓄電池への利用がメイン。電気自動車にも使われる。
・シリコン
鋼材の添加剤や半導体などさまざまな用途で使われ、カーボンニュートラル関連では太陽光パネルに使用されている。
・ニッケル
ステンレスなどが主な用途で、リチウムイオン電池の正極材(電池のプラス側の電極に使用する材料)としても使われる。
・コバルト
リチウムイオン電池の正極材の原料となる。
・ネオジム
レアアースのひとつ。非常に強い磁力が特徴であり、主に磁石の材料になる。電気自動車のモーターや、風力発電のタービン内の磁石に使用される。
・ジスプロシウム
レアアースのひとつ。ネオジムで磁石を作るときに添加剤として使われる。
以上のように、いずれも電気自動車や半導体、太陽光パネル、風力タービンといったこれから需要が高まる分野で必要となる物質ばかりです。
中国が大きな産出シェアを占めるジスプロシウム
ここで問題となっているのが需要と供給の関係です。上記に挙げたシリコンを除いて、その多くが将来的に需要が供給を上回ると見られています。
例えば、ニッケルは2030年代後半には需要量が供給量を上回る可能性があります。自動車の電動化が大きく進んだ場合、2050年には需要は現在の4倍になるシナリオもあり、埋蔵量とリサイクル供給量を合計しても需要量に足りなくなる見通しもあるほどです。
また、中国が大きな産出シェアを占めるジスプロシウムは、電気自動車や風力発電の普及が進むと、需要はあと数年で生産能力を上回り、2050年までには現在の10倍になるシナリオがあります。ネオジム同様、ジスプロシウムを使わない磁石の開発や、リサイクル技術・システムの確立が必要とされています。
コバルト、リチウム、ネオジムなども同様に将来的には需要が逼迫する予想があり、早いものでは2020年代半ばに需給が逼迫し始めます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら