中国が主導権を握っている「戦略物資」の地政学 「クリティカルミネラル」確保に各国が動く事情

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リチア雲母鉱山の一角(写真:共同)
米中対立が深刻化するなか、世界各国の関心を集めている問題があります。それは各国が「クリティカルミネラル(重要鉱物)」をどのように確保するのかという問題です。
最近では、5月に開催された「広島G7サミット」でクリティカルミネラルが大きな議題となり、同月に開催された「IPEF(インド太平洋経済枠組み)」でも、中国への依存を懸念し、供給網の構築を目指すことが発表されるなど、急速に世界の関心が高まっているのです。
なぜここにきて世界はクリティカルミネラルの確保に注力しているのか。そもそもクリティカルミネラルとは何なのか、『地政学で読み解く! 戦略物資の未来地図』の著者であり、日本エネルギー経済研究所、専務理事・首席研究員の小山堅氏に、クリティカルミネラルを取り巻く最新事情を聞きました。

半導体などに使われるクリティカルミネラル

クリティカルミネラルというとあまり聞き慣れない言葉だと思いますが、実は私たちの生活になくてはならない希少鉱物の総称です。例えば、電気自動車に必要なリチウムイオン電池や蓄電池、さらに半導体といったものに使われており、脱炭素化に貢献する風力発電のタービンや太陽光パネルなどの生産にも必要不可欠な物質です。

ですが、それにもかかわらず、クリティカルミネラルの需要は将来的に供給を上回ると予測されているものが多いことから、各国が供給確保に神経を尖らせている問題なのです。

具体的にクリティカルミネラルにはどのようなものがあるのか、その代表的な物質を列挙してお話を進めていきましょう。

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