中国が主導権を握っている「戦略物資」の地政学 「クリティカルミネラル」確保に各国が動く事情

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日本にとっても同様です。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けては、クリティカルミネラルの安定的な供給を確保する必要があります。クリティカルミネラルの安定供給を左右する国が、これらの重要資源の供給を減少・途絶することになれば、日本の国益に関わる事態を招くことが想定されるのです。

とくにネオジムで作られる永久磁石は、電動車や発電機だけなく、家電、軍事まで幅広い用途に用いられます。2022年12月に日本政府が策定した資料「重要物資の安定的な供給の確保に関する制度」では特定重要物資に指定されています。早急の対策を必要としていることからも、その重要性がおわかりいただけるでしょう。

クリティカルミネラル確保のための3つの対策

では、クリティカルミネラルを確保するにはどうすればいいのか。日本の場合、次の3つの対策が考えられています。

① 供給源の分散、②リサイクル、③代替物質の開発です。

ひとつ目の供給源の分散とは、オーストラリア、カナダ、チリ、アルゼンチンなどの国々と連携を取りつつ資源の開発、生産、そして調達までも視野に入れることです。2022年10 月、日本とオーストラリアは「重要鉱物に関するパートナーシップ」を締結しました。これは日本国内で必要となるクリティカルミネラルを確保するための動きであり、クリティカルミネラルにおけるサプライチェーンの構築を目指したものです。

このような外交努力を拡大し、強化することによってクリティカルミネラルを調達する方法がひとつ目です。日本は現在、クリティカルミネラルのサプライチェーンを強靭化するためにアメリカ、EU、オーストラリア、カナダなどの政策担当者と協議を進めています。

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