しかし、多くの人がコロナ期間中に、これまでの働き方、仕事との距離感に疑問を持つようになりました。
残業に忙殺されていた、かつての自分には戻りたくない
人生100年時代と言われるなか、100年という長い期間を前向きに生き切るためには、自分で何度も学び直し、職業も変え、子育てに専念したり、さまざまな経験をしたりと、充電をたっぷりしながら、社会との関係を保ちながら生きていく。そんな人生をエンジョイすることこそが本質かもしれない。そう考えると、長時間労働が常態化していたかつての自分には戻りたくない。そう思うようになった人も少なくありません。
そんな気づきが醸成されたのは、コロナ中に在宅ワークが増えたことに加えて、仕事のペースがややスローになった人が多かったからではないでしょうか。
転職サービス「doda」が調査した職種別の残業時間の実態によると、1カ月あたりの平均残業時間は20.6時間で、コロナ前と比べて、7.5時間短くなりました。当然ながら残業の減っている業種はコロナで業績が厳しい状況のケースが大半。飲食業界以外では旅行業や営業職全般も残業が大幅に減ったようです。
こうした業界の知人から、残業に忙殺されていた、コロナ前の自分に戻りたくないとの声を何人からも聞きました。それだけ、人生を考える時間やきっかけが不足していたのでしょう。
2016年発売されたリンダ・グラットン著『ライフ・シフト』が改めて売れたのも、こうした背景があるかもしれません。仕事における負担とは、勤務時間などの量的なものと、新しいことを考えるという志向的なものの2つ。この2つに今改めて遭遇する中、多くの人が負担に感じ、疲れを感じやすい局面になっているように感じます。
日本に限らず、世界の経営者も、アフターコロナの今、社員たちにハードワークを期待しているようです。先日お会いしたアメリカの経営者は、どうやって、社員に勤務意欲を高め、長く働いてもらうかを苦慮していると話してくれました。
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