コンサル企業「経営戦略→業務請負」になった背景 コンサル「中の人」が語る事業転換していく経緯

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それまでは業界を問わない普遍的な経営のテーマを扱っていたのが、コンサルタントの専門性が高まると、業界特有の業務に近い領域でも付加価値を出せるようになっていきました。

かくして、規模の拡大が、クライアントへのバリューを高める、というのが、規模拡大への舵を切ったことに対するアクセンチュアなどの「理由」でしたが、それだけではありませんでした。

アクセンチュアの場合、上場していますし、他のファームも複数の案件をこなすためにコンサルタントを数多く抱える必要があり、また、コンサルタントの給与も年々上げていかなければならなかった。つまり、ファームの財務的にも、規模を拡大しなければならなかったのです。

戦略策定型から業務請負型「コンサル2.0」

ただ、そうやって規模を大きくしていっても、何億円、それ以上のフィーを取れる案件が急に増えるわけでもない。郵政改革のような国家プロジェクトの数にも、超大企業の「社長案件」数にも、限りがある。ファームの数が増え、また、どのファームも規模拡大に走り出したのだから、当然、今度は、人員は増えたけれど、案件が足りない状態にあるはずだ。

そこで起きたのが、それまでの戦略策定型から業務請負型への、ビジネスモデルのシフトでした。コンサルティング会社のMD(マネージング・ディレクター、マッキンゼーでは同じ役職をパートナーと呼ぶ)の間では、「1人の社長10人の部長100人の課長」という言葉がよく交わされていました。

社長につけば1案件だけど部長につけば10案件取れる、課長に行くと100案件取れる、このようなセオリーです。要するに、ここで言う課長案件レベルでも行うようになったということです。当然、発注者が部課長になると、テーマも経営戦略から既存業務の改善になる。ただし、この業務改善に宝の山があったのです。

その例がいわゆる総合系と言われるファームです。最終的に業務の請負は、システムやBPOに落とすことができます。コンサルは、そのシステムやアウトソースの導入までやってしまうようになったのです。

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