本心を誤解されやすいのは感情を隠しているから 積み重なると信頼を失い、メンタル不調になる
ちなみに、感情表現が豊かではないために、自分の望んでいることを相手にうまく伝えられない場合もあると思います。そんな時のキーワードは“TRUST”。自分の傾向を知り、それを感情表現にうまく活用するための指針です。
たとえば、ちょっと上から目線な上司がいたとしましょう。困ったときは親身に話を聞いてくれるし尊敬はしているけど、頭ごなしに否定してくるときがあるのが辛いし分かってもらいたい。そんな場合の“TRUST”の使い方を、具体例とともに紹介します。
例:いくら上司だからと言って、なんでもかんでも批判されたらイライラするのは当然のこと。私はイライラしてもいい。
例:私の目的は、上司に自分の気持ちを伝えて、態度を見直してもらうこと。
例:私は普段おとなしい性格で、自分の意見を主張することもあまりないから、上司はきっと私の気持ちに気づいていない。自分の性格に対する認識を使って、「伝える」という合理的な選択をしよう。
例:私は今、緊張している。表情がこわばっていて、声を出そうとするとちょっと震える。
例:いきなり声を荒らげて怒りをぶつけても、上司はびっくりしてしまう。私が批判的な言葉に傷ついていること、上司だからこそ私を肯定してほしいことを、冷静に、でも真剣に伝えよう。
参考文献:『うつと不安のマインドフルネス・セルフヘルプブック−人生を積極的に生きるためのDBT(弁証法的行動療法)入門』(トーマス・マーラ著、永田利彦監訳、坂本律訳、明石書店、2011年)より大幅に改変
このように、大切なのは感情を抑え込むのでも、ただ感情に任せて行動するのでもなく、心の状態を知ってコントロールすること。感情が表に出ないように繕っていたり、本来の自分ではない別の姿を装っていたりしていないか、今一度考えてみましょう。
苦しみを引き起こす感情・思考・行動パターンを知り、変えていくスキルを身に付けることで自分自身を守り、人や社会ともうまく関われるようになります。続けることで身に付く、一生もののスキルです。
これを知っていると、まわりの人に対するイメージも少し変わってきますよね。いつも無愛想で苦手だと思っていた人や、話しかけてもあまり楽しそうに見えなくて「私のこと嫌いなのかな?」と思っていた人も、感情と表情が一致していないだけかもしれませんよ。
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